双忍のケンカ?!の段!

乱太郎「きり丸、しんべヱ準備はいい?」
しんべヱ「いいよ」
きり丸「こっちもOK」
しんべヱ「えへへ、僕たち今回はあんまり出番がないのでナレーションをさせてもらいます」

きり丸「まぁ、話しても話さなくてもお駄賃一緒だから話さなくてもいいかな〜なんて思ったり」
しんべヱ「あぁ、そうかそれじゃあきり丸」
きり丸「あぁ!せーの」

2人「「ん」」

二人そろって口を閉ざしてしまい乱太郎は慌てて二人を止めようとするが取りあえず先に進めるためナレーションを一人で続けることになった。

乱太郎「え、ちょっと二人して黙らないでようもう!!

それはある日の放課後のことです!!」

ある日の放課後
五年の忍たま長屋の中庭で僕「疾風 蒼真」と雷蔵が洗濯をしていた。

最後の洗濯ものを物干しざおにバサバサとしわを伸ばして広げて洗濯ばさみで止めて

「この洗濯物を干せば!よし洗濯物終わり!」

雷蔵「ありがとうね、蒼真手伝ってくれて」

「いいよ、どうせ今日いい天気だからやっておこうと思ってたし」

雷蔵「それでも助かったよ〜そういえば今日は委員会活動はないのかい?」

「あ、あぁ‥‥食満先輩が実習でお留守だから今日は無しだってさ」

雷蔵「なるほど‥‥そういえば中在家先輩もそういってたな
それじゃあ〜僕の部屋でお茶でもするかい?」

「そうさせてもらおうかな」

雷蔵の部屋に向かおうとしたところで八左ヱ門が「お〜い雷蔵!!」と呼びながら駆け寄ってきた。

「ん?八?」
雷蔵「あ?八左ヱ門?」

八左ヱ門「おい、何ぐずぐずしてるんだよ!!
さぁ、早くこっちにきて」

首をかしげる僕たちをよそに八が雷蔵の手を取りどこかへ連れて行こうとする

「あ、おい!雷蔵!八!!」

雷蔵「うわぁ〜!ちょっ、ちょっと八左ヱ門君、竹谷八左ヱ門君!!なぁに?!」

雷蔵も呼ばれている理由がわからずに混乱しているようだ。

八左ヱ門「なにじゃないだろう!?さっき約束した通り毒虫の世話手伝ってもらうからな!!」

雷蔵「ちょっ、ちょっと待ってて!!」

八左ヱ門の手を振り払い一時的に停止させる。

雷蔵「はぁ〜僕はここでずっと洗濯物をしていたんだ
毒虫の世話ってなに!?」

八左ヱ門「あれ?それじゃあ、雷蔵じゃなくて、三郎?」
雷蔵「いや、雷蔵!!蒼真も何とかいってくれよ!!」

「あ、あぁ‥‥汗)八、雷蔵はさっき言ってた通り僕と一緒にずっと洗濯をしていたぞ?」

八左ヱ門「え?!それは本当か?蒼真」
「まぁな」

八左ヱ門「雷蔵だったら早くいくぞ!!」
雷蔵「えぇ〜!!ご、ごめんな蒼真また後で〜!」
「あ、‥‥おう!」

その後結局手伝わされた雷蔵はぐったりと疲れながら忍たま長屋の自分の部屋にたどり着き部屋へ入ると何故かそこには兵助が座っていた

雷蔵「はぁ〜三郎の奴僕の変装に磨きをかけたな〜?
迷い癖まで真似されたおかげで八左ヱ門が全然僕じゃないことを信じてくれなかった〜‥‥

まぁ、しょうがないか今の時点で三郎と僕を見分けられるの蒼真だけだもんなぁ〜やっと忍たま長屋の自分の部屋でゆっくり休める」


兵助「やぁ、お帰り雷蔵!」
雷蔵「げ、兵助〜!!」

兵助「いやぁ〜あんまり遅いからおしかけちゃったよ!
ほら、いっぱい豆腐料理を作ってきたよ!」

雷蔵「え?な、なんのこと?汗)」

兵助「さぁ、食べてそして感想を聞かせてくれ!!

さっきみたいに「おいしいともいえるがそうともいえないともいえる」なんて曖昧な感想じゃなくて「おいしい」ってねぇ〜!!」

雷蔵「兵助〜だから、それは僕じゃなくて三郎の変装でだって!」

兵助「いやそんなことはない、あの迷い具合は雷蔵の誰でのものでもなかった俺が100%保証する」

と自信に満ちた表情で雷蔵の肩を叩く兵助にどっと疲れた雷蔵は若干絶望の目をしながら「えぇ〜」と叫ぶ

兵助「待てよ…?自分が不破雷蔵だと言い切るその迷いのなさ‥‥もしや!お前雷蔵に変装した三郎か?!」

と勢いよく指をさす平助に
雷蔵「は?いや、僕は雷蔵だよ!不破雷蔵!!」
兵助「そんなにきっぱり言い切るところが怪しい!!」

雷蔵「えぇ〜!!」

その騒ぎを聞きつけて勘右衛門と八左ヱ門がやってきた
八左ヱ門「なんの騒ぎだ?」
勘右衛門「お、何だか楽しそうだな!!」

兵助「あ、勘右衛門!八左ヱ門!いや、三郎が変装を見破られたことが悔しくて雷蔵だと言い張っているんだ!」

雷蔵「だから、僕は不破雷蔵だってば!!」

兵助「ね?怪しいだろう?」
八左ヱ門「間違いないよね」
勘右衛門「あぁ〜この見事な言い切り!雷蔵ではないな!!」

雷蔵「八左ヱ門までぇ〜」
兵助「だったら、自分が証拠だというものある?」

雷蔵「じ、自分が自分である証拠を出せって言われても‥‥
あっ、忍術学園の学生証明書、住民票はありか?」
兵助「ほら、ない‥‥やっぱり三郎じゃないか」

雷蔵「だから、僕は不破雷蔵だって!!」
兵助「ふふ、その自信が命取りだ」

雷蔵「自信が命取りって‥‥じゃあ、他にどういえばいいんだ?

そうだ、蒼真なら…!!」

兵助「蒼真?」
雷蔵「うん!蒼真なら僕が不破雷蔵だってすぐにわかるでしょう!?」

兵助「た、確かに‥‥」
八左ヱ門「さっきも蒼真は雷蔵だぞって言いきってたしな」
勘右衛門「あいつは一度も二人を間違えたことが無かったからな‥‥唯一見分けられる存在だしな‥‥
そういえば‥‥あいつ見かけないな?どこに行ったんだ?」

「‥‥何だか、雷蔵の部屋が騒がしいな‥‥って
雷蔵帰ってきてたのか‥‥お帰り」

雷蔵「蒼真〜!!」

「のわっ!!ら、雷蔵?!どうしたんだよぉ〜
そんな泣きそうな顔して‥‥」

雷蔵は蒼真の顔を見るなり泣き顔で抱き着いた
そのいきなりの出来事によろめくのしっかりと抱きとめた。

兵助「え、じゃあここにいるのは本物の雷蔵?」
「ん?そうだぞ‥‥なんだ、兵助お前らみんな雷蔵の部屋に集まったりして‥‥」

何かあったのか?と尋ねると勘右衛門が説明した

勘右衛門「実はな‥‥かくかくしかじか」←
「‥‥なるほどな」←

雷蔵「い、いまのでわかるの?」

「まぁな」

何となく察しがついていたらしい蒼真は得意げにわらった

八左ヱ門「じゃ、じゃあ毒虫の世話を手伝ったのもここにいる本物の不破雷蔵だったってことか?!」

兵助「最初に煮え切らない感想を言ったのも…」

雷蔵「うん、僕じゃないから三郎!!
まったくあいつにも困ったもんだよ‥‥皆にも迷惑をかけているしさ‥‥ごめんよぉ?」

「雷蔵お前が謝ることじゃないだろう」

雷蔵「あぁ〜あいつのせいで体を休める時間もない」
「常に僕がいるわけでもないから見分けるのも大変だしな」

勘右衛門「ここは一発がつんと言ってやるべきじゃないのか?」

雷蔵「え、がつんと?」

勘右衛門「あぁ!がつんとな、迷惑をかけているからやめろ!じゃないとただではすまさないってガツン!!」

と拳を前に出して勢いよく言ってみる勘右衛門
兵助「勘右衛門それは酷いな‥‥」
勘右衛門「こりない三郎にはこれくらいがちょうどいいんじゃないか?」
兵助「それはそうかもしれないけど‥‥言う方の雷蔵がほら‥‥」
と苦笑いしながら勘右衛門の肩に手を置きながら雷蔵の方を見る兵助


雷蔵(はぁ〜‥‥僕が三郎にがつんという?
ガツンと言えるのか?いやいや、ここは言うべきだ‥‥
あぁ〜でも言えなかったらどうしよう〜!!)

その時だった部屋の戸が開かれてやってきたのは今話題の原因である中心人物「蜂屋三郎」だった

三郎「お、みんな集まってどうしたんだ?」

「「「「三郎〜!!」」」」
兵助「どうしたんだ?じゃないよ!」
勘右衛門「兵助、ここは雷蔵に任せろ」

三郎「雷蔵?雷蔵がどうかしたのか?」
雷蔵「あ、いやぁ‥‥えっと‥‥」

困った表情で顔を引きつらせている雷蔵に気づかずに
三郎は雷蔵の顔をみるなり笑顔で寄りながら雷蔵の肩に手を置きながら言う

三郎「いや、ありがとうな雷蔵やっぱりお前は頼りになるよ〜私の代わりに八左ヱ門の手伝いと平助の相手もしてくれたんだろう?

これからもよろしく頼むぜ?」


その言葉に堪忍の尾が切れたのかブチッという切れた音が聞こえた気がした

雷蔵「くっ‥‥んぅ!!」
三郎「雷蔵?」
雷蔵「ありがとうなじゃない!」

雷蔵はついに怒りをぶつけるために肩に乗せていた三郎の手を強く振りほどいて今まで貯めていたことをぶつけはじめる

雷蔵「三郎!!僕の変装は許すけどどぼくになりきるな!!」
三郎「む、無理言うなよ!なり切るのが変装の極意じゃないか〜」

雷蔵「そのおかげで僕はすごぉ〜く迷惑しているんだ!」
三郎「それは今に始まったことじゃないだろう?」

と悪びれた様子もなく言ってのける三郎に思わず僕たちは呆れながら突っ込む

「「「「お前が言うなよ‥‥」」」」」

雷蔵「これ以上僕に迷惑かけるようなら‥‥!」
三郎「かけるようなら‥‥?」

雷蔵「あ、えっと‥‥その」
言っていいのか勢いを殺してしまいそうになる雷蔵に火に油を注ぐように悪びれた様子もなく茶化すように言う三郎
三郎「ん?言ってみ?ほら、ほらほら!」

雷蔵「うっぐ!‥‥絶交だ!!」

僕以外の四人が「「おおおぉ〜!!」」」と声を上げる

雷蔵「僕に変装するのも断る!そんな顔二度と見たくない!!」

八左ヱ門「そんな顔って‥‥汗)」
勘右衛門「自分の顔に向かっていってるよ汗)」


雷蔵「前から言おう言おうと思ってたんだ!
自分であれやこれや迷惑かけてそのしりぬぐいは全部僕!今日も八左ヱ門の手伝いをすると言っておきながらやったのは僕!
兵助の豆腐を食べるのはいいが結局僕にお鉢が回ってくる!!自分で始めたことは自分で終わらせろ!

まずはありがとうじゃなくてごめんなさいだろう?!
僕は三郎の保護者じゃないんだぞ!!
もしそうだと思っているんだったら僕の言うことを聞け!!

今後僕の変装は一切禁止だ!!」

そこまでマシンガントークのように言い切ると三郎は逆切れを始める

三郎「ぐっ‥‥あぁ〜そうかよ!
もう雷蔵に何か変装してやらないよ!誰がしてやるもんか!!

あ〜ば〜よ!!」

どこかの悪役の捨て台詞のように言い捨てると勢いよく部屋から飛び出していった三郎。

八左ヱ門「すごいな!よくあそこまでいった!!」
勘右衛門「あぁ、雷蔵もやるときはやるんだな!
これで三郎も少しは考えるだろう‥‥」

兵助「いやぁ‥‥雷蔵の方がすごく考えているみたい汗)」

雷蔵の方を見るとすごく後悔しているのか悩んでいるのか
考え込んで一人の世界に入ってしまった

雷蔵(はぁ〜言ってしまった!
よかったのか?あそこまで言ってよかったのか?
追いかけた方がいいのかな?
いやいや、‥‥でも言い過ぎたって謝るべきかな〜?)

「まぁ、しばらくは三郎の様子を見るしかないね

雷蔵が悩んだり謝ったりするべきじゃない、あれはどうみても三郎のほうが悪いんだしさ‥‥」

雷蔵「う、‥‥うんそうだね‥‥」