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8.25.××(晴れ)
メイド職についてから一週間が立った。最初は「王様の世話してこんなにお給料が貰えるならラッキー☆」的な感じで軽く転職したのだけれど、割と後悔している。
まず、女中の仕事がきつい。私には教養がないからなおさらだ。喋ると馬鹿なのがバレてしまうから基本「はい」か「いいえ」か「やめてください」くらいしか言っていない。体力仕事も多いし、朝は早くて夜は遅いし、もう辞めたい。
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8.26.××(晴れ)
朝起こしにいくと、ベッドに引きずりこまれた。武器を持っていたら咄嗟に刺していたかもしれない。ジャーファルさんに武器の装備はするなと言われていて、正直懐に何も入っていないのに慣れないでいたのだけれど、持っていなくて良かった。
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8.27.××(晴れ)
空気を触るように尻を触ってくる
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8.28.××(晴れ時々雨)
今日は珍しく整備区画の視察に行ったかと思えば、雨に降られてびしょ濡れで帰ってきた。天気にまで仕事をするなと言われているなと笑っていたけど、隣にいたジャーファルさんは笑っていなかった。脱がせてくれと言うので、濡れた服を脱がしてやって体を拭いてやったがこれはセクハラなのか仕事の一環なのか誰か教えて欲しい
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8.30.××(くもり)
一日サボった。日誌は一応ジャーファルさんがチェックすることになっているんだけど、今の所一度も見てくれていない。忙しいんだろうな。って1日サボったら怒られたので今日からまた真面目に書くことにする。
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8.31.××(晴れ)
私の頭がよろしくないのを気にしてかジャーファルさんが女中頭さんを紹介してくれた。私が女中になる前に一通り仕事を教えてくれた人だ。今日から彼女が女中の卵達に教えている教養の授業に参加することになった。うれしい。
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9.1.××(晴れ)
王様が夜中にべろんべろんになって帰ってきた。そのまま眠ればいいのに、寝酒に付き合えとか言って付き合わされた。そのままあれよあれよと事に及ぼうとしたので一発殴ってしまった。まあ元本職だし、上手い具合に入ったから大丈夫。明日覚えてなければいいけれど。
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9.2.××(晴れ)
殴ったことも手を出しかけたことも覚えてなかった。きっと今までの女中達もこんな感じで関係を持ち始めてしまったんだろうと思う。私も酒に弱いからこれだけは気を付けよう。
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「ほとんど日記じゃないですか」
「すみません」
ジャーファルは数日分の日誌を軽く読み終えて、呆れた顔でメイドを見た。
「それでもあの人の手口がわかったので良しとします」
「手口ってほど計画的じゃないです。性分というか、そこにいたから手を出している的なアレです」
「それは良いんだか、悪いんだか……兎も角今日からまた禁酒にしましょう」
「はい」
「……メイド、続けられそうですか?」
「はい。でも日誌はめんどくさいです」
「そうですか良かった。これからもよろしく」
「……日誌はめんどくさ…」
「また何かあったらすぐに来なさい」
「………はい…」
口答えは許さない的なあの笑顔で日誌を返されてしまった。戻ってきたずっしりと厚い日誌を見て「これ3年は書けそうだなぁ」と思って遠い目をした。