おすし食べたい
『ちょっと暗殺部隊には珍しい依頼なんだけど』
そう言われて差し出された書類を受け取り目を通す。とあるドラッグの売買取引が行われていると噂されているクラブがあるという。その事実を確認し黒ならば速やかに処分しろという内容だった。
確かにうちの部隊にくるのは珍しい案件だ。ヴァリアーはただ暗殺をするためだけの機関。依頼が回ってくるのは暗殺が既に決定しているもののみとなる。潜入捜査を行うとなるとボンゴレの奴らの管轄だ。書類に紛れ込んで間違って回ってきたのかもしれねぇ。
『どうする?断る?』
困惑の色を隠せずにいるなまえに口の端をつり上げる。
「いや、俺が行こう」
最近は報告書作成やら他の奴らの尻拭いやらで現場に出ることがなかった。
丁度退屈していたところだ。スタッフとして紛れ込みひと暴れすれば少しは気が晴れるだろう。
*
求人を見て申し込んだと伝えるとろくな面接も行われず制服を渡された。てっきりスーツが渡されるのかと思っていたのだが…。
「な、んだ…こりゃ……」
どう見ても面積の足りていない衣装を着てはみたものの鏡に写る自分の姿にひくりと頬がひきつる。
こういった店があることは知っていたが、まさか自分の身に振り掛けるとは…。出直した方がいいのか。しかし無情にも支配人らしき男がバックルームに入ってきて「時間だ」の言葉と共に着替える間もなくフロアへと押し出された。ええい、ここまで来たんなら腹をくくるしかねぇ。他の連中が居るわけでもねぇし、さっさと終わらせて帰るとするか。
フロアに行けば揃いも揃って色欲に溺れた女達が男に群がり欲情した顔を隠しもしねぇで好き勝手してやがる。普段は男なんぞ全く興味もねぇみたいなツラを化粧の下に巧妙に隠して上品ぶっていそうな女が今じゃ男に跨がり腰を振っている。まあ、俺も嫌いじゃねぇが。
好き勝手やられている野郎共も男として情けなくねぇのか、とも思ったがここのやつらも仕事と割り切っているのか、それとも己の性欲を満たしつつ収入を得れる割りのいいバイトだと思っているのか、そのどちらにしろ楽しんでるらしい。
俺はというとまずは常連客の元へ新入りとして紹介する為に各テーブル席に連れ回された。その度品定めするような女どもの視線が肌に纏わりつく。一通り紹介が終わったあと次は上客に顔通しをされるらしい。ドラッグが横行しているとするならここの連中か。黒いドアの前に立ち固唾を飲んでいるとVIPルームの扉を支配人がノックした。一体どこのファミリーの奴だ。ツラを拝んで話を聞き出し見極めねばならない。ドアが開くと落ち着いた照明に部屋の中央にテーブルとソファーが一組。
そのソファーにはこの依頼を持ってきたなまえが悠然と座っていた。
危うく叫びそうになったが寸でのところで引っ込めた。
一通り先ほどテーブル席でのやり取りと同じことを終えたあと支配人が部屋から完全に出ていくのを確認して、ほっと息をついているとクスクスと笑う声がした。
『いい格好ね』
目を細め面白そうににやにやしていやがる。こっちの気も知らねぇで…。軽く舌打ちしてなまえの隣に腰をおろした。
普段現場には来ることのないなまえがこの場にいる、ということは何かこの件で進展があったのか。
『ここには防犯カメラはあるみたいだけど、盗聴器はなさそうだから安心して』
「…どうなってやがる」
曖昧に笑いながら『何か飲む?』ときたもんだ。いつものようにバーボン、と言いそうになって思いとどまる。まだ任務中だ。いざ動こうとして肝心な時に使いもんにならなかったらどうしようもねぇ。断りつつ詳しく話を聞こうとしたところでするりと太ももを撫でられた。
「う″お″ぉ″お″お″い″!」
『しっ!静かに。周りに合わせとかないと怪しまれるでしょ』
「……おう」
軽く太ももを撫でられながら際どいところに手が触れそうになる。
冗談で誘ったこともあるが、あの時はあっさり断りやがった癖に今日はどういうつもりだ。
身体を密着させ顔を近づけ耳元に唇をよせてきた。
『この任務のことなんだけど…』
「な、んだぁ?」
いつもより近くなった距離になんとなく落ち着かなくなったのを悟られないように僅かに身体を離すと不意に握られた息子にびくりと反応する。ゆっくりと竿を撫でながら下着の中に手を入れ直に触れてきた。それからゆっくり扱きながら鈴口まで到達し指の腹でくにくにと弄り始める。振りだけにしちゃやりすぎだろう。おい、本当にどうしたんだ。やめろ、と口にする前に耳元にフッと息を吹き掛けられた。それから辺りを忍ぶような甘い声色でそっと耳打ちされた。
『実はウソなの』
「、は?」
『ごめーん』
「なっ、てめぇ!……ッ!」
『だってスクアーロのそういう格好見てみたかったんだもん』
扱きながら子どものように口を尖らせる姿にくらくらと目の前が暗くなった。何のために俺はこんな格好をさせられて見世物になってたんだ…!
「ふざけんじゃねぇ!」
『もう、おっきい声出さないでよ。変に思われちゃうでしょ!』
「嵌めやがって!」
『やだぁ、まだ嵌めてないでしょ。スクアーロのえっち!お詫びに奮発してアフターでお寿司奢っちゃう』
「〜〜っ、てめぇ!」
どんなに凄んでみせても急所は文字通りなまえに掴まれている。
「…後で覚えとけよぉ」
『まあまあ、今は楽しみましょ』
ぺろりと赤い舌で唇を舐め、息子の先端を咥える姿にがくりと項垂れた。
次へ
ALICE+