塾講師と生徒4

あっついですねぇ、いやもうこう暑いと本当倒れそう!歩いてるだけで汗がダラダラ垂れ流し状態で干からびちゃいそう。知ってますか?最近じゃ室内でも熱中症にかかるらしいですよ。寝る前とか水分我慢しないで取っといた方が良いみたいです。あとクーラーも。もうエコとか言ってる場合じゃないですよ。とにかく水分補給は大事!

「…はぁ、それで?」

自販機でお腹に優しいビッ○ルを購入しようとしていた僕の前に下敷きをうちわ代わりにして扇ぐみょうじが現れた。

『ポカリが飲みたいです、正ちゃん先生』
「何故、僕に?」
『何故ならそこに自販機があるから』
「(ああ、みょうじの教室からこちらの様子を窺っている六道先生の顔が歪んでいく)」

キリキリと痛みだした胃を押さえながら思いきって提案をしてみる。

「…六道先生にでも頼んだらどうだい」

1本と言わずケース単位で。彼なら喜んで買ってきてくれるだろう。

『この前奢って貰ったから悪いですよぉ』
「遠慮はいりませんよ」

いつの間にここまできたのかみょうじの隣にデレデレと笑う六道先生が居た。その手はちゃっかり肩を抱いている。

『え、あ、いいです。正ちゃん先生から奢ってもらうんで』

にこりと笑いながら、肩に置かれた手を払いのけぴかぴかと注文待ち状態の自販機のボタンを躊躇いもなく押した。

「あ、こら!」
『ごちになりまーす』

取出口からポカリを拐い悪戯っぽく笑って軽やかに駆け出していくみょうじの姿を見送っているとぽんっと肩に置かれた手。

「入江先生、少しお話が…」
「いたっ…!」

ぎりぎりと肩を締め上げてくる手に声をあげて反射的に六道先生を見るとにこやかな顔をしているが全然目が笑っていない六道先生に更に悲鳴をあげた。



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