夢みた少女の一年間

文章フェチのみんなへ


▽2024/02/09(Fri)
おいしい、
ショートケーキの頂には柘榴石がある。そこに、スプーンを割りいれる。石は赤くきらめいた。色香が香りたつ。食べものなのに、色香とは、おかしな話かもしれない。けれど、でも、たしかに、婀娜っぽい欲を感じたのだ。唾を、飲む。はむ……と口に放った。瞬間だった。甘やかに、どろりと、柘榴石は溶けてゆく。気品を思えるソースに、私はひとり微笑んだ。

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category:グルメ

▽2024/02/05(Mon)
日常的な、

 山脈がつらつら北に流れてゆく。その上っ側は青白く、五月の空に溶けこんでいた。この時期にまだ肌寒いのは、ここが森のはずれだからか、あるいは近年はやりの異常気象だからか。わからない。でも、北に流れる山脈がきれいなのは、たしかだ。
 はぁと吐いたぼくの息は、とても、澄んでいる。

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category:情景

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