私は立海大附属中学校3年で、平穏な毎日を送っては勉学もソコソコ頑張っている。
そんな私の唯一の楽しみは、同じクラスの男子。幸村精市君を毎日一目で良いから観ること。彼を観てるだけで心がフワッと暖かくなって幸せな気持ちになる。それが私の唯一の日課。
別に恋愛感情がある訳じゃないと思う、私は幸村君をよく知りもしないし、幸村君だって私のことを知らないと思う。寧ろ憧れか…崇拝か…イケメンは幾ら見ても飽きないという感覚だろうか…彼の事ならずっと観てられる…って変態みたいで少し嫌だな。
「みかって本当に、幸村君の事好きだねぇ」
『え!?今そんなに見てたかな…??』
「だーいぶ熱烈な視線送ってたよ、今」
『えぇ…というか、幸村君だってジロジロ見られるの嫌だよね…やっぱり変だし辞めた方が良いかな…』
「変ではないと思うよ?あのイケメンだもんねー!そりゃ見て目を浄化したい気持ちもわかるもん、あと絶対やめられないでしょ」
『うん…無理だと思う…絶対見ちゃう』
友達のさゆりちゃんと、そんな当たり障りの無い話をしていると、咄嗟にさゆりちゃんがとんでも無いことを提案してきた。
「そうだ!今日の放課後のテニス部の見学しに行こうよ!彼処なら人いっぱい居るから合法的に幸村君見れるよ!」
『え!?あ、そっか…うちのテニス部って毎日オーディエンス凄いもんね…さゆりちゃんと一緒になら行ってみようかな』
「よしゃ!決まり!!私もイケメン沢山見れるから楽しみだなー!」
という事で、放課後テニス部の見学をする事になった。見学なら人も沢山いるし、幸村君をどれだけ見てたって迷惑にならないし、変態扱いされないだろう…コレで存分に見れる!とウキウキの私だった。
そして放課後。
黄色い歓声が常に飛び交っていて、まるでLive会場にでも来たかのようなオーディエンスの熱気に圧倒されながらも、少し離れた木のふもとから眺める事になった。
「いやーこれだけ人いるのに、練習とか出来るんかね?ウチのテニス部って本当すごいなー」
『そうだね…でも、これなら幾ら見ても大丈夫そうで安心した!』
テニスコートを見ると、普段の彼から感じるおっとり系オーラとは打って変わって、部長としての威厳や絶対に負けない自信、彼の本当の姿はきっとテニスコートにいる時なのかな…悠々としていて、とてもカッコイイ…
そんな風に見つめていた時、自惚れだと思うけど、ふと彼が此方を見た気がして心がドキッとした。でも、私の前にいた人達がこっち見た!私を見てた!と言ってたから、やっぱり私を見た訳じゃないよね。少し焦っちゃった。
「あれ?しのざきじゃん」