平和に行きましょう。

かみひこうきラブレター




「ねぇ、今度の家庭科の実習で作るケーキ、銀八先生に渡そうよ!」
「うん!先生って意外とカッコイイもんね!」

すれ違った女子生徒の会話に思わずドキリと心臓が高鳴った。
同じクラスではない2人だけど、学年は同じ。ということは家庭科の授業の内容も同じ。しかも今から私が受ける授業が家庭科の実習。そう、それだけ。たったそれだけなのに。心の中にモヤモヤした物が生まれるのが分かり、それと同時に自分の心の小ささに情けなくなった。

「何してるアルか、#名前#!置いてっちゃうアルよー!」
『あ、は、はーい!』

教室を出た少し先で私を待っている神楽ちゃんやお妙ちゃんの元へと急ぐ。頑張って一番美味しいケーキを作ろう。







「先生!これ、さっきの家庭科の実習で作ったんです!」
「食べてください!」
「おー、ありがとな」

俺の目の前にいる生徒たちが手渡してくるのはラッピングされたシフォンケーキだった。ご丁寧にもリボンまでついているそれらを受け取ると、名前も知らない女子生徒たちはキャーキャー言いながら走り去っていく。まさかこんな展開が自分にも訪れるとは…とケーキを眺めながらふと考える。確か#名前#と同学年の生徒…ということは、あいつも同じようにコレを作るのだろうか。そうだ、そうに違いない。そしてそれを渡されるのは確実に俺だ。俺しかいない。そう断言出来る理由は一つしかない、俺と#名前#は秘密の関係…つまり恋人同士だからだ。思わず顔がニヤケてしまう。恥ずかしがりながら『先生…これ、良かったら食べてください…っ』と渡されたらもう俺はヤバいね、その場で押し倒せる自信がある。いや、押し倒してケーキごと#名前#を食べるしかない!!学校で、誰もいない教室っていうシチュエーションを死ぬまでに一回はしておきたい。前にそれを言ったら『そんなことしたらもう学校に行けない…』って涙目になりながら言ってたな…もうホント、あいつは可愛すぎる。

「はぁ…早く会いてぇな…」
「誰に会いたいって?」


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