第1話
「あなたには明日から、私のハウスで暮らしてもらうわ」
「……私もバケモノのエサになるんじゃないの?」
「1年後にね。12歳で満期出荷するように上で決まったのよ」
「……そう」
死ぬのが今でも1年後でも、正直どうでも良かった。
もうどのみち、何も知らずに幸せに暮らしていた頃には戻れない。
「門の外であなたが知ったことを、誰にも言わないと約束できる?」
「言って何の意味があるの? どうせ逃げられないんでしょう。だったら、本当の事を知らないほうが幸せだよ」
「そうね。賢い子は好きよ」
「誰にも言わないから、その代わりお願いがあるの」
「何かしら?」
「一人部屋にしてほしいの」
新しいハウスで、もう誰かと仲良くなるつもりはなかった。
仲良くなっても、別れが辛くなるだけだ。
「分かったわ。それであなたが秘密を守ってくれるなら。……残りの1年、私のハウスで皆で一緒に幸せに暮らしましょう」
――『幸せ』なんて、存在する訳ないのに。
イザベラから伸ばされた手を、ナマエは虚ろな瞳で受け取った。
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