うるさい口を塞ぐ(凛月)


昼休みも終わりに近づいた頃。
中庭の木陰ですやすやと眠っている凛月くんを見つけて、私は声をかけた。

「凛月くん、起きて」

「……」

「もうすぐ授業だよ」

「……」

「りーつーくーんー」

寝ている凛月くんの肩をぐらぐらと揺らすと、薄く開かれた瞼から赤色の瞳がのぞいた。

「凛月くん、そろそろ授業が、」

「……なまえ、うるさい」

腕をぐいっと引き寄せられたかと思うと、唇に柔らかいものが触れた。
一瞬何が起こったのか分からず、絶句して固まっている私を見て、りつくんは満足そうに笑う。

「静かになったねぇ♪」

じゃあおやすみ〜と言って再び目を閉じて眠り始めたりつくん。

(……キス、された……!?)

ようやく事態を理解して、ぶわっと一気に顔に熱が帯びるのを感じる。
私はその場にへたり込んで、穏やかな寝顔をただ恨めしげに見つめることしか出来なかった。



2016.10.21



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