壱はとっても可愛い。
目の色は先輩譲りの日本人にしては色素の薄い青みがかったグレー。顔立ちもやや先輩よりかもしれないけど、どちらかといえば私似だ。髪も黒よりの茶色だから、壱と同じ色に染めている。肌は普通の肌色。
夏場に日焼けすると、やっぱり先輩に似ていてドキッとし、思い出すこともあるが、壱と両親と。毎日大変だけど幸せに暮らしている。



大学でといて良かったな*両親にマジ感謝。親孝行しなきゃ!
ボーナス入ったら半分貯金で、残りでみんなで安い温泉旅行に行こうかな*と軽い気持ちで温泉旅館を予約した。

「キャ****!!!」
「お化け屋敷してるのかな?」
「きっとそうよ」

壱の純粋な感想に同意を示しつつ、昨今治安が悪いのできっと何か事件が起こったんだと予想する。

「壱はおばあちゃんとこのまま入ってて。お母さんのぼせちゃったから、先に出るね」
「はーい! 見ておばあちゃん! あっちのブクブクしてるお風呂行こう!」
「はいはい。ハナ、気を付けなさいね」
「様子聞きに行くだけだから大丈夫。この子をよろしくね」

まだ浴場に入り、体を洗っただけ。しばらくは二人ともゆっくりしているだろう。
洗った髪の水気を取り、適当にまとめて肩にタオルをかける。急ぎ浴衣を着て女湯から出た。


(なんだか胸騒ぎがする)

人の声がした方向へ急ぐ。近付くにつれ、ざわざわと人の集まっている気配がした。

ひょっこり、人垣から覗くと、よく見えないが名探偵の毛利小五郎さんが何か仲居さんに話しかけていた。
どうやら、やっぱり何かあったようだ。
幸い温泉の後は部屋で夕飯を食べる予定だから、この付近には壱は近付かない。もし散歩する時もこの方向には行かないよう、両親に言わなければ。

踵を返すと、背後から最近よく聞く少年の声がした。

「あれれ*? 壱君のお母さんだよね! こんばんは!」

振り返ると、壱と友達になってくれたコナン君が浴衣姿で首を傾げている。

「こんばんは。コナン君も旅行に来たの? また壱に伝えておくね」
「うん! おばさんは壱君と離れて何してるの?」
「温泉に入ってたら叫び声が聞こえたから、様子を見に来たのよ。壱がこっちに来たがるとダメだから」
「壱君は?」

早く温泉に戻りたいんだけど、と思いつつ、壱の友達なので丁寧に応対する。

「あの子はおばあちゃんと温泉に入ってるよ。コナン君は誰と来たの?」
「あそこにいる小五郎おじさんと! あ、僕、おじさんに頼まれてる事があるんだ!
またね、壱君のお母さん!」
「えらいね。気を付けてね」

パタパタとスリッパで名探偵の方へと戻っていった。

「あれ、コナン君。どこに行っていたんだい?」
「クラスメイトのお母さんがいたから、挨拶してたんだ!」
「へぇ、偶然だねぇ」
「安室さんは何かわかった?」
「いや、毛利名探偵に何かお考えがあるみたいで」
「何だろうね!(いや、おっちゃんに限ってろくな考えじゃないだろ……)」





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