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空の青さはどこの世界も変わらない。
遥か高みで太陽が輝くことも、沈めば月が昇るのも、雲の形が一定でないのも。
しかし世界が変われば文化も様々で、その象徴とも言える宗教というものは、より一層独特の思想をもって複雑に練り上げられている。

窓から差し込む麗かな午後の太陽に、チェーンに繋がった十字架をぶら下げた。陶器のようにつるりと白いそれは傷ひとつなく光を返し、僅かに目を細める。
神。宗教。信仰。崇拝。馴染みの薄いそれらを考える度に、自分は敬虔な信徒とは程遠い存在だとまざまざと感じさせられる。それは今まで生きてきた文化がそうさせるのだろうけど、例え信仰心を養う教育を施されたとしても、自分が信心深く神に祈りを捧げる姿がどうしても思い描けないのだ。
何も神は死んだだとか、存在しないだとか言うつもりはないのだけれど。

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