Short Story





ペンギンに血の愛を綴る

※死ねた


ゲホッと咳をした彼女は口から再び多量の血を吐きだした。膝に頭を乗せていたため俺の白いつなぎも、彼女のも真っ赤に染まった。それを見て申し訳なさそうに「ごめん」とか細い声で言った。彼女の黒い髪をサラサラ撫でると気持ちよさそうに目を閉じた。俺たちの周りは赤で染まっていた。周りのやつらは知らない。おそらく怪我を治療しているんだと思う。俺も勿論無傷というわけではない。切った腕が痛むが、腹を真っ赤にそめたコイツのほうがもっともっと痛々しい。ドクドクと彼女の血は流れを止めることを知らない。彼女は「ごめん」とまたつぶやいた。「気にすることない。俺のほうこそ、」ごめん、という前に口を塞がれた。どうやら、俺の謝罪を聞き入れる気はないらしい。こんな瀕死の状態でも笑う彼女に悲しくなった。
「ねえ、ペンギン」
「なんだ」
「キス、して?」
んっ、と彼女の可愛らしい声が漏れる。やめろ、そんな声出すな。耐えられなくなるだろう。ちゅっちゅっと音を鳴らしながら彼女の唇を喰らう。何分たったかはわからない。いつのまにか彼女の腹から流れ出た血が固まっていた。
「ね、ペンギン」
「ん?」
「あのね、」
私のお腹にペンギンがナイフを刺して。ペンギンに殺されて死にたいの。
俺は愛用のナイフを抜き出した。
「いいのか?」
「今更。もう死ぬんだもん。お願い」
彼女の目は本気だった。
わかった、そう言って俺はナイフをおろした。
彼女は愛してると呟いて呼吸を止めた。

血文字で綴ったラブレター

最後のキスはまずい血の味がした。


タイトル:レイラの初恋