七月もあと二週間ほどで終わる海の日の手前の日。
この日が土日祝であろうが、銀魂高校では終業式が行われるのであった。
同棲、十七日目。
「あっちーな、オイ」
そりゃ七月だし当たり前か、なんて自分がで言ったことに自分でツッコみ、持って来たビニールシートを鞄から取り出し敷いた。
その近くに組立式パラソルを立てて日陰を作り、ビニールシートの上に寝転がる。今日は荷物が多いから大変だったな、とか考えているといきなり屋上のドアが開いた。
「名前…!!」
「げっ、銀八!」
「列にも居ねーし教室にも居ねーからもしかしたらとか思ったけどさ、またサボりかよお前!!」
「サボりじゃありません、自主休憩です」
「それがサボりだって言ってんだよ! つかビニールシートは大目に見たとしても、なんなんだよそのパラソル!!」
「紫外線が肌を攻撃してくるからその防御法じゃん!」
「日焼け止め塗っとけば良いだろ!」
全く、乙女心というものを銀八は理解してないからいつも女の人ににフラれるんだよね。その後フラれたのにまだアプローチするタイプだよね。しつこい男は嫌われるよ。
「いや、あのね名前ちゃん。別に銀さんは色んな女になりふり構わず告ったわけでもフラれたわけでもないからね」
「うっそだー。だって妙がとある女の人にフラれたって言ってたもん!」
「どこから仕入れてんだその情報…。でも俺は告っても無いしフラれてもないと断言するぞ!」
「……まぁまぁ立ち話もアレですから、座る?」
「あ、どうもどうも」
銀八をパラソルの下に座らせて、鞄から小さな組立式のテーブルと保冷袋に入れておいたキンキンに冷えたお茶。
取り出した紙コップに注ぐいで銀八に渡すと、あ、お構いなく、とか言いながら飲み干した。
「俺が女とよく話してんのは、女にしか聞けない相談をしてるからでしてね」
「なにそれ。生理の話とか?」
「銀ちゃん泣きそうなんですけど」
「あー、ごめんごめん。で? 何その相談みたいなのって」
「いや、その…アレだよアレ」
「だからアレってなんだよ」
変なとこで銀八は乙女モードに入るから、生徒としてはしばし対応に困ってしまったりするわけで。
しびれをきらしたあたしはテーブルをちゃぶ台のようにひっくり返した。
「大人ならはっきり喋りやがれ!!」
「大人だからこそ言いにくいこととかがいっぱいあんだよ…!」
「なにムキになってんの超きもーい」
「……泣きたい」
まぁ銀八虐めはこれくらいにして、テーブルを元に戻したあたしは今度は真面目に銀八の話を聞くことにした。
どうやら銀八には好きな人が居るらしく、でもその人にはライバルがいっぱい居て、しかも意外と鈍感らしいから手が出せないそうだ。
そして、女子高生代表の苗字名前からの一言。
「諦めれば?」
「ひどっ!! 最後の最後まで聞いておいてひどくねっ!!?」
「だって話を聞く限り銀八は努力してないじゃん。努力しないで女のハートをそう簡単に易々とゲットできると思うな!!」
「お前、本当に高校生?」
若干呆気にとられている銀八にアドバイスをやるとしたら、まずは積極的にアピールすること。そして、時には男らしさを見せること。
こんなとこだろうと話し終えたら、銀八は納得しながらも意味深な表情であたしを見ていた。……超きもーい。
「お前は、どんな男がタイプなんだ?」
「教え子のタイプ聞いてどうすんのマジ死ねよ天パ」
「うっ…」
そしてなんでそこで息詰まる! そんなにあたしのタイプが知りたいのか!!
「……あのね、銀八。あたしはさ、タイプとかって聞いても無駄だと思うんだよね。人間タイプじゃない人を好きになったりとか、色々あるんだしさぁ。つまり、大事なのはその人に自分をどう印象付けれるかだと思う」
「印象、か…」
「話が合うなら合うで好印象だし、…そういう好印象を多く相手に与えていくことが、1番大事なんじゃないかと思うんだけどな」
銀八はお茶を飲み干し一気に立ち上がったと思うと、お礼の言葉を残して屋上を立ち去って行った。
一体何しに来たんだあの教師、あたしを終業式に出すために来たんじゃないのか。
まぁ、別に良いんだけどね、のんびりした時間が過ごせるならあたしは構わないわけだし。
銀八の話を繰り返し考えていると、ざわざわと講堂から人が出てきた音が聞こえてくる。もう終業式が終わったのか、と教室へ戻る為にサボり快適セットを片付け始めた。
人生相談室を屋上で開くべきか悩むな、これ。
(2008/11/04)
(2019/09/01 再編集)