両親を快くアメリカに送り出したあたしは、トシの事とか同居取り止め作戦の事を思い出して、唯一話を聞いていただろう変態保健医高杉先生に話を伺うも、面白がって何も答えてくれなかった。


同棲、二十八日目。



銀魂高校では八月最後の週の水曜日辺りに二学期の始業式が始まる。
面倒な事この上ないが、欠席扱いになるのも嫌なので仕方なく学校に行って屋上で暇を潰すのがあたしクオリティーだ。

「クオリティーとかなんとか言う前にさ、学生の本業を全うしろよ」
「げっ! 銀八、また来たの!?」

もう既に始業式は始まってる時間帯。そして、あたしが言うことを聞いてここから立ち去らない事を知っている銀八は、頭をかきながらパラソルの下に敷いてあるビニールシートに座った。
例によってあたしも折り畳み式テーブルに紙コップを置いて冷たいお茶を注いで渡す。

「名前、お前なんで出ないんだよ」
「フッ…愚問だな」
「誰?」
「団体行動の意味がわからん」
「だから何キャラ? 二学期始まってすぐのキャラ変更とか止めてくんない?」

まぁ銀八をからかうのはこれぐらいにしといて、持って来ていたポテチを一枚食べる。個人的にコンソメパンチが好きだということを言えば、袋から一枚とって、俺は海苔塩派だな、と食べながら言う銀八にあえてツッコミせず、黙々と食べ続ける生徒と教師。
携帯のアラームが鳴った。

「あ、もうすぐで始業式終わる」
「なんで計算済みなんだよ」
「フッ……私の辞書に、不可能という文字は無いのだよ、ワトソン君」
「ホームズ先生、そんな事に頭を使うなら普段の勉強に頭使いやがれ」
「それはめんどくさいのだよワトソン君」
「ただのめんどくさがり屋じゃねぇか!」

銀八と会話しながらもパラソルを片付け始めれば、銀八はビニールシートを畳みだしてくれていた。
…あ、そういえば、銀八はあたしに用があったんじゃないだろうか。サボりなのは分かってるはずだから、屋上に来る意味も無いし。

「銀八、あたしに何か用あったの?」
「あ?……あー、まぁな」
「なにその歯切れの悪い返事!」
「いや…だってお前、忘れてそうだし……催促すんのも、なぁ?」
「だから早く言えって! 欝陶しいなァもう!!」
「……名前、俺に弁当作ってくるって約束、完全に忘れてるよな?」
「………………………………さて、皆はもう教室戻ってるかなー」
「明らか無視してるよな。無かったことにしようとしてるよな」
「アハハハ、何を言ってるんだいセニョール…ぼ、僕が無視なんかしてる訳無いじゃないか。君と僕の仲だろ?」
「だから何キャラ!!? キャラ変更するなら一つに定着しろよ!!」

仕方なく……約束を忘れていたあたしが言うのもどうかと思うけど、仕方なく短縮期間が終わったら作ってくる約束をしたあたしは、荷物を持って屋上を後にした。
Z組の教室に入ると、相変わらず皆騒いでいたので、それに乗じてトシに話を聞こうとしたが総悟が宿題を写してる最中だったからあたしも出来てない場所を写させてもらう事とする。

「名前!」
「なにさっちゃん。あたし宿題写しで忙しいから手短にね」
「また先生と会ってたでしょう!? 屋上でチョメチョメやにゃんにゃんしてたんでしょう!?」
「してないから。あたしさっちゃんから銀八を奪う気なんて無いからね」
「……その言葉、信じて良いのね?」
「あたしとさっちゃんの仲じゃない!」
「名前!!」
「さっちゃん!!」

写すのがタイミング良く終わったのでさっちゃんと抱き合った。それと同時に銀八が教室に入って来たから、あなたのダーリンが帰ってきたわよ! とさっちゃんに言うと、マイダーリンンンンンンン!! と叫びながらさっちゃんは銀八にダイブしに行った。よし、まだロングホームルームは始まらないだろう。

「……トシ、」
「ん?」
「あのさ、この間の事なんだけど…」
「ああ、アレな。…アレ、結局、高杉に恋人が出来るまで同居続けるらしい」
「えっ! 嘘ん!!」
「悪い、完全に俺の力不足だ」
「ううん、無理なお願いしちゃったし……まぁ、後は自分で何とかするっきゃないか! トシ、協力してくれてありがとうっ」

トシは微笑んで返事してくれた。そしてあたしを呼ぶ妙と神楽の元へと向かう。

「おい土方コノヤロー」
「殴るぞ総悟」
「…良いんですかィ? 元からバレてたなんて言わなくて」
「名前の両親に言われたからな。高杉の野郎も気付いてたみてーだし」
「トシ、名前の事を完全に諦めた訳じゃないんだろ?」
「さあな…」

そんな会話が後でされてたなんてあたしは気づくはずも無く、妙と神楽でこの後カラオケにでも行こうかと計画を立てる事に夢中だった。


波瀾万丈な二学期が始まる。

(2009/03/16)
(2019/09/01 再編集)