あたし、今、最高に幸せです。


同棲、八日目。



「えー、本日は御日がらも良く  
「キャッホー!! 肉アルゥゥ!!!」
「貴様ら! 野菜も食わんか!!」
「新ちゃん、今日は豪華ね!!」
「姉上、笑いながら近藤さんをどつくの止めてください。せっかくの焼き肉がマズくなります」
「ちょっとなにそれ新八くんんん!!?」
「何マヨネーズつけてんだ。死ね土方コノヤロー」
「ンだよ悪ィかよ!」
「お前らお願いだから銀さんのスピーチ聞いてェェェ!!」

体育祭が土曜日にあったから、月曜が振替休日でその日に打ち上げならぬ優勝パーティーを開催することになった。
銀八の粋な計らいで高杉先生も参加して良いこととなり、少し遅れて焼肉屋に到着すると、もう既に肉の争奪戦は始まっていた。
あたし達の姿を見つけた銀八が手招きをしてくれて、安全地帯となっているテーブルに座らせてもらう。
あたしと高杉先生、そして銀八の三人で食べることになった。なんで三人か、というと、やっぱりはっちゃけるにはもう年齢がついていかない大人と面倒臭がりのあたしの利害が一致したからだ。
ワイワイ食べるのも良いと思うけど、体育祭の日に捻挫してしまった足もまだ痛いから今回は自重させてもらうこととする。

「ん、この肉もう食えるぞ」
「ありがと、銀八」
「そんなに食ってたらせっかく減らした脂肪がまた付くだろうなァ」
「う、うるさい! 食べなきゃ損なの!」

そんな会話を続けて食べる焼き肉は美味しくて、皆はどうなんだろうと隣のテーブルを見てみると、一部争奪戦に負けて屍になっているゴリラを除き、皆楽しそうにしているみたいだ。
ヅラとエリザベス、九ちゃんと東城とかはそれぞれ別のテーブルで食べてるけど、楽しめてるみたいだし。うん、優勝出来て良かったー。

「あっ、おい高杉! それ俺が目ェつけてた肉!!」
「名前でも書いてあんのかよ」

銀八は口論で勝てるはずもない高杉先生と肉の取り合いをしてるけど、あたしの近い場所にある肉は取らない。なに優しいところ見せ付けてんだよ……まぁ、良いけど。

「ちょっと良いですかィ?」

戦場と化した隣のテーブルからやって来たのは総悟だ。
割り箸にタレでも染み込ませてたのかしゃぶりながら話し掛けてきた。もちろん、あたし達三人の手も止まるわけで。

「なんで高杉センセイがここにいるんですかィ? こいつは関係ないはずでさァ」
「えっと、なんでかっていうと  

やばい、言い訳が見つからない。銀八は冷や汗を垂らして吃りまくっているし、高杉先生は何も言ってくれない。
あれ、なんで何も言わないんだこの人。自分の事だっていうのわかってないのかなー。

「私達女子を送ってくれるためよ」

また総悟が言葉を発しようかとした時、隣のテーブルから声が舞い降りる。…て、天使のお助け!

「女子の人数を考えれば、大人が二人必要なのは当たり前でしょう?」
「そうヨ! 私達はか弱いアル!」
「……なんでィ。てっきり名前の付き添いかと思いやした」
「俺ァこんなお子様相手にしてるほど暇じゃねェんだよ」

そうそう、お子様だからあたし。足怪我してるから、あたし。自虐してるのは気のせい、だよね、うん。
総悟は堪えの言葉に納得したのか、そのままテーブルに戻って土方の予備に持ってきたマヨネーズにタバスコを注入し始めた。

「お子様を相手にしてるほど暇じゃない、か……言うじゃん、高杉」
「うるせえ…」
「お前から見て名前がお子様なら、銀さんが貰っちゃうもんねー」
「はい!!?」

いきなりなんでそういう発想の転換するかな銀八コノヤロー。
え、ちょっと待てよ。何真剣な顔してこっちを見てくるのよ。やめろってそういうの!

「名前、…俺じゃ、ダメ?」
「いやいやいや、ダメとかそういう問題じゃなくて…!」
「俺だったら、ちゃんとお前を護る  ぐはっ!!」
「いや、だから…!……ぐは?」

パニクった頭を正常に戻して銀八に視線を戻すと、机に突っ伏していた。
銀八の隣に座っている先生に聞いても、酒に酔ったんだな、しか答えない。
あのタイミングで酔って寝るとかマジありえないんだけどー。もう死ねよ銀八マジ死ね。ちょっとときめいたあたしが馬鹿みたいじゃないか。

「ンだァ? おめー、まさか銀八のヤローの告白にときめ、」
「やめてください今この瞬間この時間があたしの人生の汚点になったんで」
「ククッ、だとよ、銀八」
「名前ーひでぇよー……俺は高杉に殴られ、ぐふっ!」
「もう起きたのか。まだ寝といた方が良いんじゃねェか?」
「た、高杉……てめー…」
「ちょ、ちょっと待て! せっかくの焼き肉パーティーで喧嘩するなよそこのダメ教師二人ィィ!!」

もう色んな意味で銀魂高校は地に堕ちたと思うよ。
まぁ、こんなダメ教師達とダメ生徒の皆と一緒にいるのが楽しいんだけど。でもさ、やっぱり、



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(2008/09/01)
(2019/09/01 再編集)