Zet at zeT










「はぁ〜……疲れたっ…」

一日の激務に疲れてしまい、部屋に入るなり座り込んだ。今日もあの団長に振り回された一日だった気がする。阿伏兎さんは私の体調を気遣ってくれるけれど、団長は別で、私の疲れがピークの時に限って色々申し付けてきたり、ちょっかいを出してきたり、果ては仕事を放り出してどこかに出掛けようとする始末だ。いい加減、地球に行くのは止めて、一日だけで良いから船内で大人しくしてくれないだろうか。

「………着替えよ…」

考えても仕方ない、か。あの変態には何を言っても同じな気がする。寝巻に着替えようと着ていた服を脱いで箪笥から寝巻を取り出し、そして、ズボンを履いてから四角い部屋の四隅を注意深く探った。その後は部屋に置いてある机を調べる。……あった。書類の積まれたよく調べないと分からない所に、それは隠れていた。

「…あの変態、また隠しカメラなんかを……!」

小さなそれを手で握り潰しごみ箱に捨てた私は、怒りに身を任せ自分の今の格好を気にする事なく部屋を出た。向かう先は、勿論、変態の部屋だ。いつもはノックをするか声を掛けてから扉を開けるが、今はそんなことをしている暇は無い。いきなり扉を開ければ、神威団長が驚いたようにこちらを見た後、口笛を吹いた。

「どうしたの、名前。夜這いならもう少し遅くに来たらどう? あ、宇宙に夜遅いとか無いか」
「ンな事する為に来るわけないですから! また、カメラを私の部屋に隠したでしょう!!」
「え? 俺知らないよ?」
「毎度毎度知らないとか言いつつ、結局は認めるじゃあないですかっ。そういう変態行為は止めてくださいって、いつも言ってますよね…!?」
「今の状態からすれば、名前の方が変態だよね。上半身は下着のみ。半裸なんだよ? わかってる? 恥女だよ恥女」
「っ…! そっ、それくらい分かってます! とにかく、これが最後の忠告ですからね!」
「仕方ないなぁ。今日は名前の下着姿見れたから良いかな。ブラとお揃いでパンツも可愛かったし」

部屋を出ようとした時、聞き捨てならないことを聞いたような気がした。あのカメラは見つけてすぐに壊したはずだ。だから録画している内容を団長が見れるわけ……まさか!

「流石、江戸の最新カメラだよね。生中継できるんだもん」
「団長……ま、まさかとは思いますけど…」
「この間、江戸に行って買ってきたんだ。生中継が出来るから、どんだけ離れていても電波が受信できれば見れるんだって」
「……どれだけ買いました…?」
「超小型も合わせて10くらいかな。ここにある3つを除いて、残りは全部名前の部屋にあるよ。あ、でも1つ壊されたから後は…」

頭を抱える要素がまた増えた気がした。とりあえず、団長の机の上にあるカメラを壊して部屋に戻ったら、部屋を大掃除しよう。それから阿伏兎さんに団長の行動を見張ってもらおう。

「………………団長、」
「ん、なに?」


「盗撮が犯罪って知ってますか?」

(2010/01/11)