Zet at zeT








あかんあかん、今日はみっちゃんの誕生日やのにプレゼントの準備に時間かかってしもた。日にち変わってすぐにお祝いするんは基本中の基本や。家に帰るとみっちゃんはまだ起きとるみたいで、部屋の電気は点いていた。ノックして部屋に入ると、みっちゃんの表情が俺を見たまま固まった。そんなに見られたら照れるやん。

「お、おに…お兄ちゃん、どっかで、こ、こけたん…?」
「なんでそんな事聞くん?」
「だっ、だって、服、血っ…」
「あー、これな。これは俺の血やないから安心し。そんなことより、ほら、これ。みっちゃんへの誕生日プレゼントやで。中に手ぇ突っ込んで当ててみ?」

不審がるみっちゃんの手をプレゼントの入っている袋に突っ込み、触らせる。なんか、ふにふにしてぬるぬるする…。みっちゃんの感想に出してもええでと言えば、返事をしたみっちゃんがプレゼントを袋から出した。

「…えっ……?」
「みっちゃんが欲しかったモンやで」
「手っ、て、…手ぇぇぇええええ!!!!」

プレゼントを弾き飛ばし、腰が抜けたのか座ったまま部屋の隅に逃げるみっちゃんは、俺からのプレゼントを気に入ってくれへんかったんやろか。弾き飛ばされたそれを持ってもう一度みっちゃんに見せる。いや、いやや。拒否反応を示すみっちゃんにプレゼントの説明をすると、また固まってプレゼントを凝視した。

「なん、て……?」
「せやから言うてるやん。みっちゃんの彼氏やで? ずっと一緒におれるように、にーちゃんが連れて来たってんやん。まぁ全部は無理やったから、手だけやけど」
「いやっ…いやぁ…!」
「嫌なん? これ、いらんの?」

恐怖の目で俺を見るみっちゃんは、今までで一番愛らしい。手を放り、怯えるみっちゃんを抱きしめる。やっぱりあいつは彼氏やなくて不審者やってんな。みっちゃんがこんなに嫌がるんや、絶対あいつは不審者やったに間違いない。みっちゃんは弱いんや。俺が護らんで誰がみっちゃんを護んねん。俺に抱きしめられるみっちゃんはまだ小刻みに震えていた。

「怖がらんでも大丈夫やで? これからは俺がみっちゃんを護ったるからな。ずっと、俺が護ったる」

みっちゃんの瞳から涙が一筋、頬を伝い零れ落ちた。




(2010/04/23)