Zet at zeT









「……昨日今日でむっちゃ疲れた気がする」
「良かったね」
「良くないわ! 誰のせいや!」
「んー…誰?」
「自分や自分! あんなに連れ回しやがって…死ぬかとおもたわ!」
「死んじゃいなよ」
「別れ際にそんなん普通言わんで…」
「じゃあ帰らなきゃ良いじゃない」
「は?」
「あんたが帰ったら、侑士が寂しがるでしょ」
「最後の最後でやっぱ自分の弟かい。どんだけブラコンやねん…」
「あんただって、昨日おばさんへのお土産いっぱい買ってたじゃない」
「東京はめったに来られへんわけやし、別にええやろ! ちゃんと家族全員分買うたし」
「それくらい当たり前じゃないの」
「へいへい」
「…………」
「…な、なんでいきなり黙んねん」
「別に、辛いとかやないし!」
「逆ギレ!? 俺、なんも言うてへんやん」
「……ねぇ、…」
「な、なんや…?」
「また、こっちくるんでしょ?」
「暇あったらな」
「絶対、家、寄りなさいよ」
「まぁ侑士おるし、そりゃ寄るけど…」
「次来たら、イケメンな彼氏紹介するから!」
「無理やな」
「は?」
「お前に寄って来る男なんて、金目当てや」
「なにそれ、意味わかんない」
「その歳でまだチェリーガールの癖に、次、俺が来るときまで男作るって、皆無や皆無」
「なんだと! チェリーボーイの癖に生意気な!」
「中学で童貞捨てたら、それはそれでやばいやろ! 次会うときにはチェリーボーイ卒業しとるわ!」
「ふんっ、ヘタレメロスにそんな事出来るかー? こっちは次までに、イケメン彼氏ゲットするんだから!」
「侑士が許さんと思うけどな」
「はっ! 侑士に彼女出来たら死ぬかも!」
「死んでまえ。死んでブラコンを治してからまた生き返りなさい」
「嫌だそんなの面倒臭い」
「なんやと…」
「とりあえず、ほら、早くホテルに戻りなさいよ。友達、心配してるんじゃないの?」
「…もうそんな時間か、早いな」
「…………謙也…」
「…何?」
「元気でね」
「お、おう…」


(2010/06/13)