「ねぇ、名前ちゃん」
「ん? 小太郎くんどうしたの?」
「胸、おっきくなりたい?」
「……ん? ごめん、上手く聞き取れなかった。何て言ったの?」
「胸、おっきくなりたい?」
「うん、聞き間違いを望んでたんだけどそうじゃなかったみたい」
「あのね、同じクラスのまた子ちゃんが胸を揉んだらおっきくなるんだ、って言ってたから」
「えっとね、小太郎くん、あたしは成長期だから揉まなくても大きくなるんだよ?」
「でも晋助にーちゃんが名前ちゃんはひんにゅー?…って言ってたよ」
「晋助の馬鹿の言うことは鵜呑みにしちゃダメだよ、小太郎くん」
「うのみ?」
「信じちゃダメってこと」
「わかった」
「あと、あたしは貧乳じゃないからね。人より成長がちょっと遅れてるだけだから」
「あ、でもね、俺は名前ちゃんがひんにゅーでも大丈夫だよ。俺、どんな名前ちゃんでも大好きだから」
「うん、ありがとう小太郎くん。あたしも小太郎が好きだよ」
「こらエロガキ! さりげに名前ちゃんの太ももを触るな! 俺だって触ったこと無いのに…!」
「銀にーちゃんはきょにゅーが好きだから名前ちゃんの胸は触れないんだよー」
「違うって! 俺は胸があっても無くても名前ちゃんが好きだから! 貧乳な名前ちゃんでも愛せるから!」
「ねえ、銀兄さん、でもってなに?」
「えっ、あ、いや、それはっ……」
「ねえ、でもってなに?」
「俺は今の名前ちゃんが好きだから。銀にーちゃんみたいに不純な理由じゃないから」
「ば、ばかエロガキ! どこからそんな言葉覚えてくるんだ…!」
「俺知ってるもん。銀にーちゃんのベッドの下にはひわいな本がいっぱいなんだよね」
「ちょっ、小太郎君なんでそんな事知ってるのかな…!? あそこは俺の完全なる聖域で…」
「へー…」
「あ、ちょ、名前ちゃん退かないで!」
「小太郎くん、あの天パのお兄さんに近づいちゃダメだよ? 天パと変態がうつるから」
「うん、わかった」
「じゃあ、こんな奴置いといて、あたしの部屋で遊ぼっか」
「うん! じゃあね、銀にーちゃん。一人寂しく右手と遊んでてね」
「…えっ? たがらお前どこでそんな言葉っ…つか、テメェ確信犯だろ名前ちゃんを連れていくなっておいこら待てエロガキィィ!」
10歳児に対する憂鬱。
(2010/02/23)