Zet at zeT








「しーんすけくーん」
「なんだよ気色悪ィ。つかお前また一人で来やがって。来るなっつったろーが」
「あのさ、神威さんって、いる…?」
「無視かよ」
「神威さんに会ったらすぐに帰りますーっ」
「なんの用だ、なんの」
「別に、」
「理由になってねェぞ」
「うっさいなぁ。会うのに理由なんかいらないじゃない」
「大有りだ馬鹿」
「なっ、なんでよ…!」
「おじさんに迷惑かかるだろ」
「…なんでそこでお父様が出てくるわけ?」
「相手はキャバのキャッチやってるちゃらくて女遊びが激しい男だぞ、おじさんが知ったら泡ふいて卒倒するだろうよ」
「そんなことっ、…ない、もん」
「おめーには婚約者がいんだろ? そいつを裏切ってまで会いてェのか?」
「別に、河上くんとの事は親同士が勝手に決めたことだし、…つか第一、なんであんたが知ってんのよ」
「へぇ、相手は河上っつうのか。銀時がメイドから聞いたんだとよ」
「…はぁ、口の軽いメイドが我が家に居るなんて…」
「無駄話はもう良いか? 今すぐ帰れ」
「いやだ。神威さんに一目会うまであたしは帰らない」
「は? おじさんと河上とか言う奴に迷惑かけたくねーならさっさと帰れ。人が親切で言ってんだ、大人しく帰ったらどうだ」
「他人の親切、大きなお世話よ!」
「ンだとテメェ…!」
「晋助にあたしの気持ちなんかわかんないわよ馬鹿! 人の事散々馬鹿にするし、だから河上くんの事も知られたくなかったのに!」
「ああそーかよ。悪かったなぁ、知っちまって」
「本当に最悪! あんたなんか神威さんや河上くんの風上にも置けない奴なんだから!」
「わーったから、早く帰れ」
「もう晋助なんか知らない! 神威さんによろしくって伝えといてよね!」
「……意味わかんねーよ…」


私の初恋の人。

(2010/03/02)