「最近名前ちゃん見ないけどどうしたのかなぁ」
「こっちの方来ないように釘刺してるんで」
「晋助そんな事してたんだ。ふーん」
「なんか問題でも?」
「いや、別に。名前ちゃんって愛されてるんだなぁって」
「は?」
「好きなんだろ」
「誰が誰を」
「晋助が名前ちゃんを」
「キャッチ行ってきまーす」
「あっ、ちょっこら! 先輩から逃げんな!」
「…まだ何か?」
「つれないなぁ晋ちゃんは」
「キャッチ行ってきまーす」
「あああああ、ごめんってば。禁句だった」
「しつこいですよ神威さん」
「しつこくないとこんな仕事出来ないから」
「そりゃあそうだ…じゃなくて、何言いたいんですか」
「そうかー、無愛想な晋助にも春が訪れてたのかー」
「その台詞おっさんくせぇー」
「いつから? ねぇ、いつから名前ちゃんの事が好きなの?」
「さぁ?」
「てんちょー、晋助が今月の給料無しで良いって言っ」
「ってねぇ!」
「ちぇっ、被るなよー」
「なんか神威さん相手に喋ってたらあいつ思い出す」
「名前ちゃん?」
「…まぁ」
「ふぅん。で、いつから好きなの?」
「……昔っから」
「昔?」
「ん。…昔は人見知りの多いガキだったのに今では令嬢のかけらも無ぇガキなとこ」
「溺愛してんだ」
「でもあいつ、許婚が」
「えぇっ! なにその燃える設定!」
「は?」
「それこそ略奪すんのが男だ晋助! 名前ちゃんが好きならどんな男かもわからない奴に盗られて良いわけないだろっ?」
「え、ちょっ…」
「よし、俺が今から男というもの、そして略奪についてとことん教えてやるからな!」
「待っ…」
「さぁついてこい晋助!」
俺の初恋の人。
(2010/03/17)