Zet at zeT









「名前さん、ちょっと良いでござるか?」
「うん、どうしたの河上くん」
「実はこれを渡したくて…」
「なに、この細長いの」
「先週、京都へ父の仕事の付き添いで行った時に映画村に行って、そのお土産でござる」
「京都に行ってきたんだ! え、てかお土産って私に?」
「名前さん以外に渡す相手はおらんでござるよ」
「えへへ、ありがとう河上くん。これ、開けても良い?」
「拙者はかまわんでござる」
「…………刀…?」
「日本刀のレプリカでござる」
「へーすごいねー」
「映画村には池田屋を模した家や新撰組の頓所やとても歴史好きにはグッとくる建物などがいっぱいで、拙者、仕事も忘れてはしゃいでしまったでござるよ!」
「へーそうなんだー」
「父に言って時代劇の撮影現場も見学させてもらったんだが、あれはヤバイ」
「へーすごいねー」
「殺陣(たて)がさまになっていて、流石時代劇役者は違うと思ったでござる」
「へーそうなんだー」
「今度関西方面に行くことがあれば元気村にも行ってみたいでござるな」
「ふぅん」
「元気村では忍者ショーがあったり、テーマパークが充実しているらしい」
「へえー」
「忍者博物館にも行きたいでござるな」
「へぇー」
「忍者博物館は……って、ああ、もうすぐで休み時間が終了か…」
「あーうんそうだねー」
「じゃあ拙者は戻るでござる」
「うん、ばいばーい。………ふう、疲れた。この刀を私にどうしろって言うのかな、河上くん…」


私のいいなずけ。


(歴史オタクな万斉。2010/04/05)