Zet at zeT








「名前、」
「なんですか、お父様」
「万斉くんとは上手くやっているのか?」
「…河上家と苗字家を壊さないような関係はさせていただいています」
「そうか」
「どうかしたんですか?」
「いや、万斉くんはもうすぐで18だったよな?」
「…留学していた関係で、学年は一緒ですけど」
「ふむ。…いや、実はな、万斉くんが18になると同時に正式に婚約発表をしようかと思っていてね」
「相手方は、どう…なんですか?」
「納得の上だよ」
「そうですか…」
「そこでだ、名前。お前に、他に好きな奴が居ないかどうか確認したくてね」
「……好きな、人…」
「母さんは、お前が本当に好きな人と結婚させたいと思っていたんだ」
「お母様が…」
「他に想いを寄せる相手は居るのか?」
「……わかり、ません」
「そうか。まぁいい。もし居るなら正直に話しなさい。ただし、期限は万斉くんの誕生日パーティーの行われる一ヶ月後までだ」
「わかりました…」
「……名前」
「まだ何か?」
「いつからお前は私に敬語を使うようになったんだ?」
「……」
「苗字家の一人娘と生まれてしまったお前の幸せを私は願っているんだ。もしお前があの四人の中の誰かを好きならば  
「お父様、四人は苗字家と関係ありません。あたしは、巻き込みたくありません」
「そうか…」
「お話は以上ですか?」
「あぁ」
「…では、失礼させていただきます」
  ……母さん、やはり名前にはお前が必要なようだ。男の俺に本音を話すのは気が引けるらしい。どうやったら話してくれるのだろうな。お前だったらどうするんだ…?……死人に口無し。正しくそのままだな」


私の好きな人。

(2010/04/23)