美しいアナベル・リー

 

錆びた窓枠に手をかけて顔を覗かせればそこにはマロニエの白い花が見える。その奥にはフェンスに絡まった艶やかな薔薇が咲き誇っていた。

それはそれは美しい庭。
…しかし、その庭園を見渡した少女が零すのはつまらなさそうな溜息だった。
それもそのはず。彼女にとってその庭の風景は見慣れた陳腐なものでしかないのだから。

室内に置かれた木製の丸テーブルの上には数冊の本が積まれている。それは少女の侍女が都会に買い物に行った際、買ってきてくれたものなのだがそれもすでに読み終えてしまっている。
…何度も繰り返し読んだところで物語の結末は変わらない。

少女、なまえ・みょうじの世界はこの屋敷と庭園で完結して