雷と停電の夜に
※現パロ
「うわっ」
「おっ」
突然真っ暗になり、月島はスマホで停電の規模などの情報を調べ、ユキはカーテンをめくって外を覗く。
「すごい……この辺真っ暗ですよ」
感想を述べるとほぼ同時に稲光りがしたため、ユキはすぐに窓から離れ、月島のそばに座る。
「……停電はこの辺りだけみたいだ。雷雨が収まれば復旧するだろ」
「初のお泊まりデートが雷雨で停電って、なんかレアな感じします」
「随分楽しそうだな」
「フフン」
声に震えは感じられないし、スマホの明かりでうっすらとしか見えないが、表情は笑顔だ。
ここでカーテン越しに強烈な稲光りが見え、ユキは「ほほっ」と笑い、やや興奮気味だ。
それがなんだかおかしくて、思わず月島は苦笑する。
「お前はこういうの平気なんだな」
「はい、ワクワクします。…あ、『キャーコワーイタスケテー!』って怖がるのを期待してたんですか?」
「いやっ、そんな期待、は……まあ、してなかったといえば嘘になるが……」
月島は期待していた。
突然の暗闇と、容赦なく光る雷に怯える彼女をそっと抱きしめ、安心させるシチュエーションを。
しかしこれまでの彼女を思い出せば、そんな普通の若い女みたいなベタな展開は望めないと、理解出来る。納得出来る。
月島とユキは、合コンで出会った。
一人急に空きが出来たからと、月島は行きたくもなかったが尾形が勝手に組み込んでしまったため、渋々参加したのは今でも覚えている。
合コン当日、相手の女性陣の中に、ユキがいた。
他のメンバーと異なり、会話もそこそこにほとんど食べてばかりな彼女は、異質だった。
2時間ほどでお開きとなり、二次会だ帰宅だとそれぞれが動く中、少し離れた位置からタクシーを止めるユキを見つけた月島は、声をかけた。
相乗りしていいかと駄目元で頼んでみれば、あっさりOKが出た。
車内で、合コンの場ではあまり乗り気じゃないように見えたことを、それとなく月島が伝えたところ、彼女も人数合わせで参加していたとわかった。
「私の分はドタキャンした子が支払い済みだって言うんで、それなら美味しいご飯をタダで食べられるなーと思いまして……」
そう言ってはにかむ姿に、今思えば魅了されたのだ。
興味がわいた月島は、彼女と連絡先を交換。自然と交際が始まり、そして現在に至る。
手を繋いでも下の名前で呼んでも抱きしめても、ユキはなんだか落ち着いていて余裕が見られたので、まあ、20代後半にもなればそれなりに経験を積んでいるのだろうと、月島は大して問題にはしていなかった。
しかし実はユキには恋愛経験がなく、月島が初めての彼氏で初めての相手だという事実をラブホで知った際は、度肝を抜かれた。
ベッドに組み敷かれながら、気まずそうに恥ずかしそうに自分が未経験だと伝える彼女はとても新鮮で、あの時は正直少し、いやだいぶ興奮した。
(ユキはあれだ、年齢に比例した若さがないんだな)
冷静というか、妙に落ち着きがあるから、だから月島は話しやすさを感じたし、一緒にいて落ち着けると安心感を覚えることが出来たのだ。
月島自身、もう30代半ばだ。若い頃と比べれば、血気盛んとは言えない性格にはなった。
とはいえ、長年連れ添った高齢夫婦のような関係は、二人には早い。
いくら落ち着きがあって、後半に入っているとはいってもユキはまだ20代だし、月島とて、まだまだ枯れちゃいない。
隣でまだ雷に夢中な彼女の手に、自分の手を重ね、振り向いたところで唇を重ねる。
暗闇に慣れた目で、戸惑う表情を確認出来た。もう少し部屋が明るければ、顔が赤いのも見れただろう。
どれだけ落ち着いていても、ユキが不意打ちに弱いのを、月島はこれまでの付き合いで理解出来ている。
動かない彼女を抱きしめ、耳元で「今すぐ抱きたい」と伝えると、遠慮がちに抱きしめ返されたので、月島はそのままベッドに向かった。
-8-「うわっ」
「おっ」
突然真っ暗になり、月島はスマホで停電の規模などの情報を調べ、ユキはカーテンをめくって外を覗く。
「すごい……この辺真っ暗ですよ」
感想を述べるとほぼ同時に稲光りがしたため、ユキはすぐに窓から離れ、月島のそばに座る。
「……停電はこの辺りだけみたいだ。雷雨が収まれば復旧するだろ」
「初のお泊まりデートが雷雨で停電って、なんかレアな感じします」
「随分楽しそうだな」
「フフン」
声に震えは感じられないし、スマホの明かりでうっすらとしか見えないが、表情は笑顔だ。
ここでカーテン越しに強烈な稲光りが見え、ユキは「ほほっ」と笑い、やや興奮気味だ。
それがなんだかおかしくて、思わず月島は苦笑する。
「お前はこういうの平気なんだな」
「はい、ワクワクします。…あ、『キャーコワーイタスケテー!』って怖がるのを期待してたんですか?」
「いやっ、そんな期待、は……まあ、してなかったといえば嘘になるが……」
月島は期待していた。
突然の暗闇と、容赦なく光る雷に怯える彼女をそっと抱きしめ、安心させるシチュエーションを。
しかしこれまでの彼女を思い出せば、そんな普通の若い女みたいなベタな展開は望めないと、理解出来る。納得出来る。
月島とユキは、合コンで出会った。
一人急に空きが出来たからと、月島は行きたくもなかったが尾形が勝手に組み込んでしまったため、渋々参加したのは今でも覚えている。
合コン当日、相手の女性陣の中に、ユキがいた。
他のメンバーと異なり、会話もそこそこにほとんど食べてばかりな彼女は、異質だった。
2時間ほどでお開きとなり、二次会だ帰宅だとそれぞれが動く中、少し離れた位置からタクシーを止めるユキを見つけた月島は、声をかけた。
相乗りしていいかと駄目元で頼んでみれば、あっさりOKが出た。
車内で、合コンの場ではあまり乗り気じゃないように見えたことを、それとなく月島が伝えたところ、彼女も人数合わせで参加していたとわかった。
「私の分はドタキャンした子が支払い済みだって言うんで、それなら美味しいご飯をタダで食べられるなーと思いまして……」
そう言ってはにかむ姿に、今思えば魅了されたのだ。
興味がわいた月島は、彼女と連絡先を交換。自然と交際が始まり、そして現在に至る。
手を繋いでも下の名前で呼んでも抱きしめても、ユキはなんだか落ち着いていて余裕が見られたので、まあ、20代後半にもなればそれなりに経験を積んでいるのだろうと、月島は大して問題にはしていなかった。
しかし実はユキには恋愛経験がなく、月島が初めての彼氏で初めての相手だという事実をラブホで知った際は、度肝を抜かれた。
ベッドに組み敷かれながら、気まずそうに恥ずかしそうに自分が未経験だと伝える彼女はとても新鮮で、あの時は正直少し、いやだいぶ興奮した。
(ユキはあれだ、年齢に比例した若さがないんだな)
冷静というか、妙に落ち着きがあるから、だから月島は話しやすさを感じたし、一緒にいて落ち着けると安心感を覚えることが出来たのだ。
月島自身、もう30代半ばだ。若い頃と比べれば、血気盛んとは言えない性格にはなった。
とはいえ、長年連れ添った高齢夫婦のような関係は、二人には早い。
いくら落ち着きがあって、後半に入っているとはいってもユキはまだ20代だし、月島とて、まだまだ枯れちゃいない。
隣でまだ雷に夢中な彼女の手に、自分の手を重ね、振り向いたところで唇を重ねる。
暗闇に慣れた目で、戸惑う表情を確認出来た。もう少し部屋が明るければ、顔が赤いのも見れただろう。
どれだけ落ち着いていても、ユキが不意打ちに弱いのを、月島はこれまでの付き合いで理解出来ている。
動かない彼女を抱きしめ、耳元で「今すぐ抱きたい」と伝えると、遠慮がちに抱きしめ返されたので、月島はそのままベッドに向かった。
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