律儀に靴に履き替え、お気に入り…ってほどでもないが木陰が出来る木の下に、ドサりと座った。大きな溜め息を漏らしタバコを加え火をつけた。


『良い天気……』


雲一つない所謂、快晴。……まるで、あの子達みたい。頭の中がぐちゃぐちゃだ。私は、あの、超生物を殺せと依頼された暗殺者で、でもそのターゲットの生徒な、わけで…。ものすごく悩んでるわけで、タバコのうまさも今はあまり感じられなくて、


『あぁーっ、もう!!!』

「うわ!びっくりするじゃん」

『っ、…か、カルマ?』


びっくりしたのはこっちだ。何でいるんだ、びっくりした。気配にも気づかなかった……。さも当たり前のように、いちご煮オレ片手に私の隣へと座るカルマ。いつぞやを思い出すが…そうじゃなくて、


『……なんでいるの』

「んー、気になったから」

『気になったからって…』

「だーって、なんか泣きそうな顔してた。今も」


顔を覗き込まれ、思わず言葉に詰まった。このイケメンは変に鋭いから困る。だって多分、その通りだから。何も言えないのが悔しくて無言のまま、煙を吹きかけてやった。


「っ!…ちょ、何すんのっ!いってぇ、目に入ったんだけど!」

『ふ、ありがとカルマ』

「……いや、謝るとこじゃない?」


やーよ、謝ってやんない。私も丸くなったもんだ。顔に出てたなんて考えられない…いや、カルマが鋭いだけなのかもしれない。うん、きっとそうだ。


『ごちゃごちゃ悩んでも仕方なさそうね』

「へぇ、遊乃ちゃんでも悩むんだ?」

『私だって人間なんだけど』

「何に悩んでんだか知らないけど、思いつめてるとハゲるよ?」

『なんでよ!!』


カルマのペースに持っていかれ、思わずツッこんでしまう。バチリと目が合った彼はなんとも優しい目をしていた。たぶん今、心臓跳ねた。


「ふ、いつもの遊乃ちゃんの顔に戻った。可愛い」

『どこで覚えたのよそんなセリフ』

「思ったこと言ってるだけだよ」

『じゃあ素直に受け取ることにするわ、ありがとう』



気を紛らわせたくてタバコを吸うが、最初とは違う心境であまり、味がわからなかった。


ALICE+