私の選択



私達が蜂の巣になるよりも、私が腕を振り払い銃を風で飛ばす方が早かった。一歩一歩、街中を歩くようにテイサーへと近づく。


「部下の皆さんがこの男に従わせられていたのは、見ていて分かりました。どうします?今ここで私に向かってくるか黙って見てるか、選ばせてあげます」

「な、何をふざけたことッ!!おい、お前ら!!!動けよ!この俺を守れッ!!!」

「ふ、あははッ!!…さて、テイサー?竜巻とお散歩したことある?」

「くそったれッ!!!」

「遅いよ」


拳を振り上げ顔面へと投げられた腕は、届く寸前の所でその体は宙を舞った。あぁ、その前にやることがある。力を込め中指をテイサーに向けて、弾けば漏れる呻き声。


「今のは、父親の分、そして母親、これが村の人達、これはラティの分、次にルフィ、そして私の…分、」

「あ、がっ、」

「さ、とんでも規模の竜巻作っといてあげたから、思う存分楽しみなよ……数千メートルから落ちたら、人ってどうなるんだろうねテイサー?」

パクパクと何かを叫んでいるようだが、風の音で私の耳はテイサーの音を拾えない。この竜巻もいつ消えるかなんて、そんなの私にも分からないし、そう作った。

さよならテイサー、さん。

視線を感じて、振り向けばバチリと合った瞳。何も、何も変わってないルフィのあの強い瞳。自然と足は動いてルフィへと飛び込んでいた。逞しくなった彼は、よろけてもきちんと私を抱きとめる。


「ルフィ、ルフィっ!!ごめんなさい、私、ルフィのこと、皆のこと忘れて、ごめ、なさ、」

「でも思い出してくれたじゃねぇか!」


何気ない一言なのに、何の変哲もない言葉なのにルフィが言えば、あの頃と変わらない笑顔を見れば何故だか不思議と心が安心する。



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