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価値/ホークス



「また……あなたなの」

「ええ、俺です。懲りないですね」

「こっちのセリフよ。そろそろ私の命なんて諦めてくれない?」

「ヒーローに向かってなんてこと言うんです」


この空の旅も一体何度目だろう。真夜中だった、彼に初めて会ったのは。
20階建てのビルの屋上は、なんとも景色が良かった。不思議と恐怖はなく、いとも簡単に私の足は空を踏んだのにほんの数秒後には赤い羽根と、おチャラけた表情の男が私を抱えていた。


「あなたの顔、見飽きたわ」

「ひどいな、これでも女性には人気な方なんだけど」

「それは良かったじゃない!私からは支持を得られることはないから今すぐ降ろして」

「それは残念です。ではこのまま、夜の空を散歩といきましょうか」

「話聞いてる?」

どうやら彼は無視を決め込むみたいだ。私を支える腕は力強いのに、ひどく優しく感じるのは何故だろうか、彼はどうして必ず助けに来るのだろうか。決まってる" ヒーロー "だからだ、人を助けなければいけないからだ。

「ヒーローって厄介ね」

「そりゃどうも」

「褒めてないわよ」

小さく笑う彼の瞳は優しくて、居心地が悪くなってしまう。いつものごとく時間をかけゆっくりと空を舞った彼は、私の足を地へ着ける。そして言うのだ。

「では、また」

「もう会うことは無いわよ」

「それはどうかな、俺は速い。いつでも助けに来ますよ、必ず。ではおやすみなさい、良い夢を」


そんな彼の言葉に弱い私はすがりついて、期待して、私の命で試しているなんて、何もかも分かっているんでしょうね。


「ねぇ、No.2さん?」

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