「第3ステージは恋愛育成シュミレーション。[ときめきエッグ☆ムラキノウエ]〜!この卵から生まれる少女を育成し、学園のアイドル源氏ヒカル君との恋を見事成就させてください」


突如放送でパカから呼び出され、身構えて行けばまさに畑仕事にピッタリな服装をして私達にそう言った。隣には背の高いパカと同じくらいの大きさがある卵。それこそ恐竜の卵かと聞きたくなるほど。そしてチラと横目で集まっているメンバーを見る。おお、ザクロくん舌打ちなんかするんだ……。その他のメンバーも雰囲気はかなり最悪で、どす黒いオーラを漂わせている。あぁ、数日前にもこんな雰囲気体験したな…。

けれども例外が二人、目を輝かせてデカイ卵を触るアカツキとユズ。はしゃぐ二人を軽く流したはパカは説明を続けた。実況者数は四名以上なら制限は無いらしい。


「育成ならそいつだろ。マメ女」


アンヤがそう言いヒミコを見た。確かに育成といえばヒミコちゃん、それは私も賛成だ。不安そうに俯いたヒミコは、そっとアカツキの後ろへと隠れた。


『あと、恋愛ゲームといえばマキノくんだね』

「……だ…大丈夫かしら…」

「マキマキ。せめて瞼を閉じたまえ」


ユズのやり取りに笑みが浮かぶ。立候補がなければアカツキは参加したいらしく、アンヤを誘うがあまり乗り気じゃない様子。

今のところヒミコ、マキノ、アカツキは決定か。あと一人……ねー。


「…私パス。忍霧さんは?女性の扱い一番まともそう」

「え、い…いや俺は…」

「ザッくんは女の子が苦手なんだにゃー」

「べ、別に苦手というわけでは…」


その瞬間ユズがカリンをザクロに近づける。途端に数メートル離れたザクロ……すご、今本当にすっごい早かったよ。ザクロの様子を見たアンヤが腹を抱えて笑い出す。


「貴様それは罵倒のつもりか…?俺は売られたケンカは買うぞ」

「あァ?オレなんか売られる前に買いしめんぞ」

「馬鹿か貴様」

「バカっつったほうがバカ」

『はいはい。ボクちゃんたちそこまでにしましょうねー』


真ん中に入ってはお互いの頭をポンポンと数回撫で、離れさせる。誰がボクちゃんだ!!と怒るアンヤの頭をもう一度撫で今度はちゃんと名前を呼んでやる。


「おう、すまねェが俺も遠慮するぜ。次のに回してくんな」

『カイくん、どっか行くの?』

「探検」

『…………』


ニッコリと笑ったカイコクはそのまま、パカが行った方向へと歩いて行った。その後を追い袖を少し引っ張る。


「んぉ、どした?一緒に行くかい?」

『んや、行かない。…あんま無茶しないでよね』

「……ありがとさん」


ヒラヒラと片手を振って再度歩き出したカイコクの後ろ姿を数秒見つめては、皆の所へ戻る。ちょこちょこと近づいて来たヒミコに屈んで用を聞いてやる。


「あ、あの…鈴さんは参加されないんですか?」

『んー、私もパスかなあ。育成も恋愛も向いてないんだよね』

「あ……そう、ですか…。残念で『やっぱり参加します』…!!」


泣きそうな表情で見つめられたうえに、私の返事を聞いて俯いてしまったヒミコちゃんを見て不参加を押し通すほど私も腐ってはいなかったようだ。

弾けるように上がったヒミコちゃんの表情は、とても嬉しそうで可愛い妹が居たらこんな感じかと頭を撫でてやった。


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