少し乱暴に目元をこすり、息を整えた。心配そうに側を飛ぶアンに大丈夫だと伝え倒れている美少年……もといアレンへと視線を移す。
「本当にクロスも容赦ないな……」
近づいてそっと、髪を撫でてみれば、なんだか悪いことをしているみたいな気分になる。そういや、アレンとも何年ぶりだろうか?随分成長したな……あの頃とは大違いだ、やっぱ男の子だなぁ…ってそんなこと思ってる場合じゃないか、頭冷やさなきゃ―――
窓枠に腰掛けアンと戯れるティムを眺めては、小さく笑う。……ホーム…どれだけ、帰っていないだろう、何年連絡出来ずにいた?クロスから連絡が来て、アレンと教団へ行けと言われた時は三日三晩悩んだものだ、とは言っても答えは決まっていたが……うん、チャンスが来たと思うことにしよう。じゃないと私から連絡などきっと出来なかった。
ふいに聞こえてきた呻き声は、私の記憶よりもほんの少し低くなっていた。
「い、って……」
「あ、おはようアレン。怪我、大丈夫?」
「!?……ぁ、ラズア…さん?」
頭に手を当てこちらを振り向いたアレンは、当然だがやはり成長していて驚きに満ち溢れていた。
「やだ、なんでさん付け?前みたいにラズアって呼んでよ」
「あ、はは……すみません、ラズア」
「ん、よろしい!」
「ふふ、ラズア変わってないですね」
「そういうアレンは少し逞しくなったね?」
私の言葉に表情を明るくさせたアレンは、声を弾ませた。今までの修行の話をし始め大変だったんだなと頷くしかなかった。
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