第2松


そもそもありすちゃんが、今でも僕たち6人(カラ松を抜かすと5人だけど)に虐められてると思っている辺りからして納得がいかない。なぜなら、実質ありすちゃんにちょっかいを出しているおそ松兄さんだけだからだ。
そりゃぁ幼い頃は一緒なって、あれやこれややっていたのは認めるが、僕たちももういい大人。そんなのとうの昔にやめている。ただ僕らは気の知れたお馴染みと会話をしているだけなのだ。

ようは風評被害なわけである。
風評被害なわけだ、が。あそこまでカラ松との扱いの差を目の当たりにすると、今での行動が彼女をいかに傷つけていまっていたと言うことを実感して、申し訳なさと不安でいたたまれなくなる。だから...


「ごめん!」
「え!?チョロ松!??」

ありすちゃんと二人、小洒落たカフェで何気ない
こうして二人でお茶をするのは珍しいものではなく、良くこうしてくだらない会話をしているのだ。

勢いよく頭をさげた僕を前にありすちゃんはわたわたと分かりやすく困り出した。

「別に本気で皆に虐められてるなんて思ってないよ!
そりゃ昔はアレだったけど....今は仲の良い幼馴染みって思ってるし!
それに、本当に嫌ってたら一緒に飲みになんていかないし、ご飯だって作りにいかないよ。」


「でも、昔ひどい事してたのは事実だからさ....それに、おそ松兄さんを止めることだって...」


「うーん...上手くいえないけどさ。私たちの間でそういうノリっていうか、会話が日常化しちゃってるって分かってるし。」


それでも納得しない僕の顔は、眉は下がり元々への字の口はさらにへの字を書いているだろう。


「私、皆といて楽しいよ?一松とはワンニャン同盟組んでるし、十四松とは良くスポッチャ行くしー、トド松とは一緒にお洋服買いに行ったりするんだー。おそ松とはそれなりに飲みにいくしね。それに、こうやうって落ち着いて会話を出来るのは、チョロ松だけだよ?」


ポカンとして聞くしかない僕にありすちゃんはニコッ笑って、そして「でも、そうだなぁ。それなら、もうちょっと優しくしてくれると嬉しい、かな。」
そう言って照れて笑うありすちゃんに見惚れてしまったのは仕方ないと思う。と同時に、そうだこの子は昔から凄くいい子だったという事をぼんやりと思い出した。


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