自由と少女
廊下の隅にうずくまる少女が1人。
「また泣いてるの?」
「泣いてなんか無いよ。私は強いんだから」
「じゃあなんで蹲ってるのさ」
「凹む時ぐらいあるわよ。女の子だもん」
「おんなのこ、ねえ」
「なによ」
「じゃあ僕がキスしてあげる。それで元気だしなよ」
「素良…」
「これは内緒だよ?わかったね?」
「内緒も何も、話す相手なんていないから」
「いつまで孤独のヒロイン演じてるつもり?」
「…こんなもの、あんたにあげるわ」
そう言って少女は、素良にバングルを渡した。
「せっかく似合ってるのに」
「いいの。こんなものがあるから、私の周りには誰も居ないのよ」
「分かった。じゃあ僕がキミにこれを戻せる男になって戻ってくる。それまで耐えてよね。そしたらさ、結婚しようよ。ね、ね、いいでしょ?」
「勝手にして」
そして少女はさっと立ち上がると、薄暗い廊下を出て行った。
自由。という勲章を掲げて。
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