自由と少女2
その少女は縛られることがいやだった。世間にも、世界にも、そして次元にもだ。
いくつもの次元を放浪して、辿り着いたのが吉良塾。
「いついらいだろうね、キミとこうしてゆっくり話すの」
「覚えてないわね」
「僕は覚えてたよ。そんなことも忘れたの?でもよく忘れなかったね僕のこと」
「きみは只の子どもだけど、私と似ているところがあったから印象に残ってただけよ。可愛いとか理由なんていくらでもあるけど」
「可愛いって、そのとおりだけどさ。むしろキミより可愛いよ僕」
「女の子目の前に凄いこと言えるわね。えーとし、し、し…し…そくん?」
「しそーーーーーーーッ!!!!やっぱりぜんっぜん覚えてないじゃん僕の名前!!!まさかのしそーーーーーーーーーーーーーーー」
「ツボりすぎ」
「紫雲院素良だよ!!!思い出して!!!」
「そうそう略してしそくん」
「略さないで!!???」
「じょーだんよ。素良」
どきっ
あれ?
今のって、なに?
(この僕が…このおんなに恋!?どきって言ったよな、今…)
「ねえ」
「なあに?」
「キミ、僕の彼女になってくれない?」
「いや」
「断るのはやッ!!!でも僕本気だよ!!!びびっときちゃったんだ。キミが僕の名前呼んだ時、僕の心が高まるのがね。だから朝も夜も昼も、ご飯食べてる時も学校行ってる時も塾の時も、ぴったりくっついてはなれないからね!!!ね、ね、いいでしょ!?」
「むり」
「むりなんかじゃないよ!ところでさ」
「なあに?」
「キミの名前なんていうの?」
ボカッ
殴られた。
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