君と僕
「ギンちゃーんっ」



小柄な体からは信じられないほど元気で、可愛らしい声で僕の名前を呼ぶ。隊長である僕をちゃん付けで呼ぶことが出来るのは、彼女くらいだ。





「んー?どないしたん、琥珀」
「へへっ…ギンちゃんの姿見えたから、走ってきちゃった…」
「ほんま琥珀は可愛らしいなぁ」
「ありがと」




にこにこ笑う少女。小さい体の彼女はいつも僕を見上げて笑う。彼女にとっては何気ない動作だろうが、それがすごく嬉しく思う。



「ギンちゃん、仕事はもういいの?」
「ええねん。どうせイヅルが今頃泣きながらやっとるやろ」
「そっか」




ひょいっと琥珀を抱き上げると琥珀はぎゅう…と抱きついてきた。




「ギンちゃん」
「なんや、琥珀」
「…だーいすき」




耳元で彼女が囁く言葉は、僕が一番望んでいる言葉で。





「…それは僕もや、琥珀」





彼女への愛しさが膨らみ、更に強く彼女を抱きしめた。





琥珀は僕が流魂街で拾った女の子だった。お腹を空かして倒れているのを見て、彼女に死神の素質があることを見抜き、勧誘……そして着実に実力を付けていった琥珀はすぐに席官になることが出来た。
自分よりも幼く、純粋な琥珀の存在に…ギンは癒された。




「ギンちゃんっ、今日のご飯は何がいー?」
「そやな〜、僕琥珀と一緒やったら何でもええよ」
「へへっ、じゃあ琥珀と一緒だね」




汚れを知らないその笑みを浮かべる琥珀の頭を優しく撫でてやりながら、二人が共に過ごしているギンの自室へと帰って行ったのだった。


1/52
prev  next