第3話 再会
〜コナン視点〜
「コナンくん、知ってる人?」
蘭の声で俺は慌てるが、突然の事態に言葉が出てこない。
そんな俺に助け舟を出したのは、意外な人物だった。
「あれ?稚彩希?」
「あ、小五郎くん、久しぶり〜」
「久しぶりだな!何年ぶりだ?いつ帰って来たんだ?」
「小五郎くんと会うのはホントに久しぶりだね〜。10年くらいかな〜?」
「もうそんなに経つか。相変わらず美人だな〜。」
「小五郎くん、それ、褒め言葉?」
そんなやり取りに俺や蘭を含めて周囲は唖然としていたが、
そんな2人に待ったをかけたのは上条さんだった。
「藤峰さん、こちらの方とお知り合いですの?」
「えぇ、私の友人です。」
そう言ったところで、俺に抱き着いていたその人は姿勢を正し、自己紹介を始めた。
「あぁ、食事中に失礼致しました。私は藤峰稚彩希と申します。
あなた方もミステリーツアーの参加者と上条さんから伺いましたが。」
「ということは、稚彩希もツアーに参加しているのか?」
おっちゃんが、稚彩希さんに尋ねた。
「うん!闇の男爵が主催のミステリーツアーなんて、
こんな面白そうなことは参加しないと損でしょ!」
そういや、この人はこういう人だったな…。
「にしても、こんなところでコナンくんに会えるなんてすごいサプライズだな〜。」
「稚彩希、こいつと知り合いか?」
「この子は遠縁の子なんだ。」
稚彩希さんの言葉におっちゃんは、そうなのかと返した。
「それじゃ、挨拶も済んだことだし、上条さん、行きましょうか。」
稚彩希さんは前田さんと明子さんに、失礼しましたと声を掛け
俺たちに手を振り、上条さんをエスコートして離れて行った。
前田さんもおっちゃんも露出の多い上条さんの後ろ姿に見惚れている。
そんな2人の耳を蘭と明子さんが引っ張り怒っていた。
「にしても、お前、稚彩希と知り合いだったんだな。」
おっちゃんが俺と稚彩希さんの関係に突っ込んでくる。
俺は冷や汗をかきながら頷くと、おっちゃんはそれ以上聞いてこなかった。

食事を終えて、レストラン内で参加者たちを見かけた俺は、
少し探りを入れることにした。
目的は宿泊費がタダになるという単純なゲームのはずだ。
なのに、おっちゃんが探偵と聞いた時の様子や
闇の男爵が俺をプールに突き落したことが腑に落ちない。
気になるのは、主催者を突き止めると手に入るというプログラム。
あの後、博士に電話で聞いたが、
博士は極秘プログラムとしか知らないと言っていた。
だが、博士と一緒に参加するはずだった友人は「ウイルス」の話をしていたらしい。
「プログラム」「ウイルス」の言葉から連想できるのは、「コンピューターウイルス」。
俺は、2001号室の金城さんから驚く話を聞くことになった。
それは、幻のコンピューターウイルスの話。
かつて大企業のコンピューターに次々と侵入し、
データを荒らしまくった幻のコンピューターウイルスがあった。
もちろん、それは発見することも止めることも出来ない完璧なプログラム。
あまりに神出鬼没な為、人々がそのウイルスに付けた名前が『闇の男爵』。
コンピューターに詳しい者なら、誰でも知っている名前だという。
主催者の名前も「闇の男爵」。
手に入るプログラムも、自然に想像ができるという訳か。
金城さんにお礼を言って離れると、後ろから声を掛けられた。
「捜査は順調かな?名探偵?」
振り返ると、そこにいたのは不敵な笑みを浮かべた稚彩希さんだった。

2016.7.14



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