「おれセンパイのこと好きです」
「…は……?」

センパイは目を見開いて固まった。そんな間抜けな姿でさえカッコイイのだから、世の中は不公平だなあ。

「?
なんでそんなに驚いてるんですか?」
「いやいや、普通驚くだろう」
「センパイみたいなスーパーハイスペックイケメンとこうやって同室で過ごしてて、好きにならないほうがおかしくないですか?あと、センパイは普通じゃないですよ。スーパーハイスペックイケメンなんですから」

そう、おれがセンパイのことを好きなのは同室になった時点から必然だったのだ。おれノーマルだったけど。テライケメンだなあ、と思っただけで別に好みの顔ではなかったはずだけど。でもそれでも好きになったということは、逆に、もう逃げようもなかった。趣味も好みも性別を超えてねじ曲げられてしまったのだ。しかも、同棲(?)をはじめた割と序盤から。恐るべしスーパーハイスペックイケメン。好きです。

「好きってなにどういう意味で?」
「恋愛の好きです。英訳するとlove」
「お前ノーマルだったじゃん!」
「いえ、生まれた時から好きです」
「嘘をつ、ちょ、なんか怖いからこっち来んな」

スーパーハイスペックイケメンは人の過去も変えられるんですよ。イケメンってすごいなあ。
自分の気持ちに素直なおれの身体はキッチンに立っているセンパイに半ば無意識に近づいていた。それと比例してなぜか少しずつ下がるセンパイの身体。逃げ腰なセンパイももちろんイケメン。