……………キス?
あれ、おれセンパイとキスしたかったんだっけ。センパイを近くで見たい愛でたい願望のあまり近づいていたが、…………キス。キス?!?!?!センパイと!?!?それは!緊張なんてもんじゃない、そんなことしたら心臓が爆発する。そしておれなんかとキスしたらセンパイが穢れる。
目を見開くおれの顔から手を離し…たと思いきや、長い指はそのままおれの頬に添えられる。綺麗な黒い瞳が俺を真っ直ぐに見下ろしている。やばい、恥ずかしいかもしれない。

「………何も考えずに近づいてきたのか?
「……」
「お前、馬鹿だなー。っと、逃げない逃げない」

おれは無口ではないが、どちらかというと表情に出にくいタイプらしいのだが、ハイスペックなセンパイはおれの微妙な表情の変化によく気がつく。そういうところが好きなんですよ。今は気づいてほしくなかったけど。
センパイは呆れたような顔をしているが、目が、楽しそうに笑っている。あれ、おかしいな。さっきまでおれが愛の告白をして、センパイは困惑してて、精神的優位に立っていたよな。
…よし、出直そう。
自分の気持ちに素直なおれの身体は一歩下がろうとするが、瞬発力までハイスペックな目前のイケメンの腕が腰に回って制止。死ねる。

「おれのこと、そーゆー意味で好きってことはさ、…キスとか」
「むっ、?!」

センパイの指に唇が挟まれる。ちょっとセンパイ、この数秒でおれの心臓が数年分動いてます。

「……それ以上のエロいコトとかも、おれとしたいんじゃないの?」

………くそ。
………………えろすぎる…。