「おい、船中八策が手に入った。付き合え」
緑色の一升瓶を抱えた隆弘がリリアンの肩を掴んだ。有無を言わせぬ口調だ。もともとリリアンには晩酌を断る選択肢など存在しない。あえていうならリリアンは日本酒よりもスコッチの方が好きだった。
「おっけー！ おつまみはなにがいい？」
「刺身」
「お前この前鮮度悪いって怒り狂ったじゃねぇか。チーズのベーコン巻きでも作るわ」
一升瓶を抱えた隆弘が酷く不服そうな顔をしたので、リリアンは笑い声をあげて彼の脇腹を軽く小突いた。
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