グレル。一応、私の彼氏…?
「マリア〜、このネイル地味じゃナイ?」
「そんな事ないよ」
「アタシ、もっと派手なネイルがイイワ」
「もう!せっかく頑張ったのに」
お互いの爪にマニキュアを塗る。
お互いの顔にメイクを施す。
「くすぐったいよ〜、グレル〜」
一緒にお風呂に入って髪や体を洗いっこする。
「アンタナニ見てんのヨ!エッチ!」
筋肉質で男らしい体つきのグレル。
いつも女みたいなグレルも男なんだなーってドキドキしちゃう。
「それでね…セバスちゃんがね…」
「ウィルがね…」
セバスちゃんだのウィルの話をする時は、目をキラキラ輝かせて恋する乙女みたい。
可愛い。
でも嫌。
「ねぇ、グレル」
「ナニヨ?」
「何でいっつもセバスちゃんとかウィルの話ばっかなの?私は?私はグレルの彼女でしょ?」
毎回毎回セバスちゃんやウィルだの話すグレルにマリアは嫉妬して居た。
壁に押し付けられるマリア。
グレルは両手を勢いよく壁につく。
マリアとグレルの顔はもの凄く近い。
いつもと違って、黄緑色の瞳は男らしい目をしてる。
「マリア、アタシを誰だと思ってるワケ?」
男らしいグレルに言葉が出ないマリア。
マリアとグレルの唇は重なる。
一旦離れたと思ったら、グレルは再びマリアに唇を重ねた。
舌が絡み合う深い深いキス。
「アタシはアンタの彼氏に決まってんデショ?」
いつもの甲高い声ではなく、低めの声でグレルはマリアに言った。
「…だってグレルいつもセバスちゃんとかウィルの話ばっかで…」
「あー、ヤキモチ焼いちゃってたのネ?でも大丈夫ヨ。アタシの一番はマリアだけヨ」
そう言うと、グレルはマリアをきつく抱きしめた。
マリアは、ワイシャツ越しに分かる、グレルの胸板や腕の筋肉に男らしさを、優しい薔薇の香水の香りに乙女を感じた。
グレルらしくて心地よい。
「アタシ、赤ちゃん欲しいワ!」
「赤い三角屋根のお家で暖炉があって、白い犬を飼うのヨ!」
テンションMAXで話すグレル。
マリアはまた相手は、セバスちゃんかウィルだと思って、呆れ気味に言った。
「はいはい、どうせまたセバスちゃんかウィルとでしょ」
「はぁ?バッカじゃないノ?違うに決まってんじゃナイ!マリア、アンタとに決まってんデショ!マリアと結婚して、赤い三角屋根のお家に住むに決まってんじゃナイ!それでアンタに赤ちゃん産んでもらうのヨ!マリアはアタシとは嫌なワケ?!」
グレルは私の彼氏。
乙女ときどき彼氏だ。