朝5時
「ンフッ、完璧ネ」
バッチリ髪をセットし、フルメイクをし、お気に入りの真っ赤なスーツを着るグレル。
アタシにとって今日は大切な日なのヨ。
恋人のマリアとデート。
「ねーぇ?この真っ赤なドレスアタシに合うわよネ?」
「グレル肩幅広いから着られないよ〜」
笑いながら言うマリア。
「失礼しちゃうワネ」
「だって本当の事よ」
グレルとマリアは恋人なのに、まるで女友達と一緒に居るみたいにドレスやファンシーな小物や宝石や可愛い帽子を眺める。
お互い楽しくて楽しくて仕方ない。
マリアがふと見たショーウィンドー。
ウェディングドレスが飾られている。
もう我慢できない。
ショーウィンドーの目の前でグレルは大きな声で言った。
「マリア、…アタシと結婚して!」
目を丸くするマリア。
グレルの顔は真っ赤になっている。
「グレル…?」
何が起きたのかよく分からないマリア。
「だからー、何度言わせるのヨ。このグレル・サトクリフと結婚しなさい」
「えっ?なんでそんな突然??」
混乱するマリア。
「アタシとじゃ嫌なワケ?」
「…そんな事ないけど…」
「嫌なら嫌ってハッキリ言ってちょうだい」
マリアは深呼吸する。
頭の中を整理して、答える。
「グレル、私と結婚して」
「はぁ?」
「私とじゃ嫌?」
「嫌なわけないでショ」
グレルとマリアは笑う。
そして気がつくと回りには人だかりが出来て拍手が響く。
二人は恥ずかしくなってその場から逃げた。
人気のない薔薇園に着く。
薔薇の花に囲まれるグレルとマリア。
「改めて…マリア、アタシと結婚して下さい」
スーツのポケットから小さな箱を取り出す。
その箱を開けるとダイヤモンドの指輪が。
「はい」
嬉しくて涙が零れるマリア。
薔薇に囲まれて口づけする二人。
薔薇の花は二人を祝福するように風に揺れる。
一緒に幸せと言う薔薇を摘みまショ。