26、勇気

思い出せないくらい昔。
この紋章を宿したころ。
生きる勇気も死ぬ勇気もなかった。

どうしようもなくて、
しょうがないから生きていた。


つい最近のこと。
あいつに居場所がばれたとき。
生きて逃げ延びる勇気も死んでこいつを守りきる覚悟もあった。

恐怖は手に入れた『勇気』と精一杯の『笑顔』で押し込めて、


「一生のお願いだ」


今の勇気の半分でも昔の自分にあったなら、
きっと俺は今こいつにこんな顔をさせなくても済んだのかもしれない。

だから、ごめんな。

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