アラームの音で目が覚めた二日酔いの朝。ズキズキと痛む頭と多少の吐き気を感じながら、いつも通り1人のベッドで体を起こした時にはっとした。

臣は…?

昨日のことは、夢だったのか。でも、確かに臣と話した記憶はあるのに、自分でベッドに移動した覚えはなくて、淡い期待を込めて寝室の扉を勢い良く開けた。


「ぉわっ。そんな勢い良く出てきたら、びっくりすんじゃん。」
「…いなく、なったんじゃないかと思って。よかった。おはよう。」
「ん。おはよう」


可哀想なものでも見るように、八の字に下がった臣の眉。なんていう顔をしてるんだ。ソファに座る臣をそっと抱き締めて、彼の存在を再確認。昨日よりも幾分冷静な私。今日も彼がここに居るのならば、それが事実であり現実だ。


「…仕事、行かなきゃ」


朝の情報番組に表示された時刻を見て、もう1つの現実に気付かされる。臣が帰ってこようが、二日酔いだろうが、今日は月曜日。働かなければならない。


「休んじゃえばいいじゃん。」
「……は?」
「会社。休もうよ、今日は。頭痛いんでしょ?立派な理由あんじゃん。」


この男は、何を言い出すんだ。そう思いながらも、別に今まで真面目に働いてきたしなぁと思ったり。いや、でも、突然会社を休まれると困るんだよ。でも、私1人休んでも問題なくない?いや、え、どうしよう。


「迷ってるでしょ。」
「誰かさんのせいで。」
「人のせいにしないでよ。ほんと悪い子だなぁ、名前ちゃんは。」
「なっ、行くよ!行くもん!」


ムキになって言い返せばゲラゲラと笑い出した臣。さぁ、今日は何する?なんて嬉しそうに言うから、私まで笑ってしまった。休日延長決定。最高じゃないか。


「DVD借りに行こうよ。ほら、昔よく見たあれ。臣が超泣くやつ。」
「あれはほんと名作だからね。あれ見るならポップコーンいるっしょ。ビールは?」
「もちろん、いるね。あと、漫画も借りて」
「オタクの休日かよ!」


昔にもよくやったやり取り。懐かしいなぁ、なんて。とりあえず着替えて、朝ごはんにしよう。それから会社に電話して、近くのレンタルショップへ。お昼は最近オープンしたラーメン屋に臣を連れて行こう。1人じゃ行けなかったから丁度いい。こんなにわくわくするのは、いつぶりだろう。


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