誰に言い訳しているんだか
うーん、気になる。……とりあえず後で誰かに聞いてみよう。その《誰か》に会えればだけど。
今はそれよりもこの部屋において存在が異質すぎるテレビとリモコンを調べてみよう。調べるといってもテレビ自体にはボタンがなく、リモコンにもやはり一つしかボタンがない。
これは、このボタンを押すという選択肢しか俺には残されていないな。
えー、でもこういう《押してください》と言わんばかりに置いてあるボタンを押すと爆発とかしそうで怖いな
……とか、もう死んでいるのだから怖がる必要はないのに考えてしまう。
……いやいやいや、しょうがないじゃないか! 死にたくないと思うのは人間の性だ!
……俺は誰に言い訳をしているんだ。
一回冷静になってしまうと、怖がるのも馬鹿らしくなり、大人しくボタンを押す。そうすれば、テレビがついたらしい音が、静かな部屋に響いた。……よかった、爆発しなかった。
だが、音はしたのに画面は暗いままである。なんだ……故障? さすがに俺もテレビの直し方は知らな―――
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