IH予選を終え、多くの3年生が引退していく中、音駒高校男子バレーボール部の3年生達は当たり前のように残った。

次は春高予選。正真正銘、このメンバーで戦う最後の大会であり、最後のチャンスである。


そんな7月上旬のある日、珍しく朝練が無い日で、油断していたわたしは寝坊してしまった。
学校に着き下駄箱を開けると、そこには一通の手紙が入っていた。

なんだろう、と思うが予鈴が鳴る。あとで確認しようと手紙を鞄に仕舞い、急いで教室へ向かった。


教室に着くとすでに研磨がいて目が合うが、わたしは特に話しかけない。
目立つことを嫌がる研磨に話しかけると迷惑になることなんて長年の付き合いで分かっているからだ。

「なまえおはよう!今日は遅いね。」
「おはよ!朝練なかったから寝坊しちゃってさー。」

クラスメイトとそんな会話をしていると先生が入ってくる。

「ほらー席つけー。出席とるぞー。」

席に着き、呼ばれる名前に返事をする。

そこでふと手紙の存在を思い出す。確認しなければと思い、机の下でそれを広げる。宛名のないそれにはただ一文が記されていただけだった。

"昼休みに中庭で待っています"




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