「で、黒尾となまえはどういう関係?ただの先輩後輩じゃねぇよな」
そう聞いてきたのは夜久さんだ。そのとなりにはニコニコした海さんもいる。
わたしの目の前にはこの2人しかいないが、虎や福永、1年生達も聞き耳を立てているのがわかる。
やっぱりそうくるよね、と思いつつ、男バレには隠してる理由も無いかと腹をくくる。
「わたしとクロと研磨は幼馴染です。」
「幼馴染!?」
夜久さんたちと話してたはずなのに、外野から声がする。声がした方を見ると虎がしまったと口に手を当てる。
「なんで黒尾と話すとき敬語なの?」
「それは…」
チラッとクロの方を見ると木兎さん達と談笑してるのがみえる。
あの距離なら聞こえないかと話を続ける。
「中学のとき、クロと仲良い女の先輩たちに言われたんです。なんで黒尾の後輩なのに呼び捨てでなれなれしく話しかけるのかって。」
まあ中学の女子って怖いですから、と苦笑いするわたしに、夜久さんも海さんも顔をしかめた。
「あとはバレー部のマネージャーやるって決めたときに、幼馴染だからって贔屓しない、みんな平等にって決めてたので。クロは一応先輩だから、そのまま敬語でって感じです。」
そっか、と2人とも納得してくれたようだ。
「黒尾の幼馴染ってなまえと研磨だけ?」
「はい、わたしの知ってる限りではそうだと思います。」
じゃあ黒尾の言ってた幼馴染ってなまえのことか、という呟きは聞き取れなかった。
なんですか?と問うが、なんでもない!と爽やかに言う夜久さんにハテナを浮かべながらもそれ以上追求することはなかった。
「これからは、俺らの前でも気にせず、普通に黒尾と接してやってよ。なまえが誰かを贔屓してるなんて、俺たちは誰も思わないから。」
いいな!と夜久さんは言う。
クロが選んだ音駒高校男子バレー部はやっぱり素敵な人たちの集まりだな、と改めて感じる。
マネージャーやってよかった。
みんなのために、少しでも力になりたい。
ありがとうございます、と笑顔で言えば、夜久さんと海さんだけでなく、周りもホッとしたように笑ってくれた。
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