引きずられて体育館を出る。

「ちょっと、クロ、痛いってば!」

そう言えば止まる背中にぶつかりそうになる。クロは振り向かずに話し始める。

「…お前、サッカー部のやつと付き合ってんの?」
「はい?」
「だから!サッカー部の湊と…」
「付き合ってないけど。」
「は?だってこの前抱き合ってたじゃねーか!」
「抱き合ってないよ!あれは不可抗力でっ!咄嗟に反応できなかったわたしも悪いけど…!」

なんだよ…と項垂れるクロ。
え、なにそれが原因だったの?よくわからないクロの行動に、ハテナが浮かぶ。

「クロ?」
「あーいや、なんでもねぇわ。」

そう言い顔を覆う。

「悪かった。」
「え?」
「イライラしてた。関係ないとか言ってスマン。お前はうちの大事なマネージャーだ。雑用係だなんて誰も思ってねーよ。ごめんな。」
「いや、わたしも言いすぎたし……。ごめんね。」

ん、と言ってクロは手を差し出す。その手をおずおずと握る。

「じゃあ仲直りな。」

それは幼い頃行っていた仲直りの握手。



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