第10話 『エロ本を探せ!』





私、名字名前は今日からシスター見習いになります。

だからほら見て!
白のシスター服。
研修中はこの服を着るんだって。

え?
どうして急にシスターになるって決めたのって??

それはね、
「神に恋をしてしまったからです。」


やん。
私ったらシスターの鏡だわ☆


……


「お前何、言ってんだ?」

テイトが自分に酔ってる私を白い目で見てくる。

さっき初めてあったばかりのテイト。
教会での私の癒し君なのだ。


「あらテイト。やっほー。」

「…その服着てその挨拶は止めたほうがいいと思うぞ。」

「だって別にシスターじゃないもん。」


そうです。
ホントはシスター見習いじゃないんです。

だってさー。
私がなれると思う?
シスターだよ?
肉食べれないしー、
ミサめんどくさいしー
早起きなんて無理だよ。

それ以上に、性欲我慢できないと思うんだよね、自分。
あ、ヒュウガ少佐とは一緒にしないでね☆

じゃぁどうして白のシスター服を着ているのかって?
着たかったから勝手に盗ってきちゃった☆

ホントは黒がよかったんだけど、ちょうどそこに干してあったのが白だったんだよねー。


「ねーテイトー暇ぁー。」

「は?知らないし。暇なら図書室にでも行ってみれば?結構広かった…って、いねぇし。」

気がつけばもうそこに私はいなかった(後日テイト談)。




***




とっしょかん♪
とっしょしつ♪
本だらけー♪

漫画!
マンガ!!




はい、見事にないっすね。
そうだよねー
マンガなんてないよねー。
うぅ、活字が目に痛い。
頭痛してきた…

出よ。


そんな私を呼び止めたのは、誰を呼び止めているのかわからない言葉。


「おい。」

「…。」


あーなんか今イヤな声がした。
振り向きたくないなー。


「おい!聞こえねーのか。」


聞こえてますよー。
ただ振り向きたくないだけでねー。


「おい!!」

「おいおいおいおい言ってんじゃねーよ!!誰だよ『おい』なんて人は!呼んでこいよ!!私は名前!名前様とお呼び!!」


後ろのヤツに一発鳩尾を入れる。


「き、聞こえてんじゃねーか。」


よろめきながらも減らず口をたたくフラウ。
その時にフラウの手から一冊の本が床に落ちた。


「あ、落ちたよ。」


優しい優しい私はそれを拾ってあげ……


「げ。」


うん。
今なんかさぁ、
見えちゃったよ。

見るつもりなんてなかったんだけどね、見えちゃったんだ。
見えちゃったものは見えちゃったってことで、仕方ないよね。


「『げ。』ってなんだよ。人様のバイブル勝手にチラ見しといて。」

「だってさー。このグラビアアイドル豊胸手術してる上に上げて上げて寄せてんじゃん。」

「マジでか?どれ?」

「これこれ。」

「マジか!」


あ、今自分何気にフラウと意気投合してる。
でも言わずにいられなかったんだよ!


「絶対こっちの女の人のほうが自然に胸でかいと思うけど。もうちょっと熟れたらもっと良くなるよ!今後に期待だね!」

「おぉ!」


がっしりと握手をする私たち。
ヤベ、敵じゃなくなっちゃった。
ま、いっか。


「っていうかさ、聖職者がエロ本なんて持ってて言い訳?」

「いーわけねーだろ。」

「だよねー。黙っててあげるから一冊ちょーだい。」


アヤナミさんのお土産にしよう。
もし仕事までに帰れなかったらこれで許してもらおう。

プチ賄賂だね。


いらないって言われたらコナツにあげればいいし。
でもヒュウガが一番最初に飛んできそうだなぁ。
無事に帰れたら。の話にはなるけどね。


「別にまだ持ってっからいーけど…。」

「どこに?」

「この部屋のあちこちにな。見かけは普通の本なんだけど、中身は…みたいな感じだ。」


そんなに必死に隠して…
司教って、暇なんだね。


「それにしても、女がこんなの持ってても意味ねーんじゃ……。それとも…そっち系??」


どっち系だ!失礼な!


「俺でよければ懺悔ぐらい聞いてやるぜ。」


遠慮するよ。
大口開けて笑われそうだし。


「いや、ノーマルだから、私。男の方が好きだから!」


というか、男が好きだから!


「別に隠さなくてもいーって。」


意地悪な顔して私の肩に腕を回す。

ただでさえ極悪そうな顔なんだから、もうその顔危ないよ。
しかもしつこい!!
しつこい男は嫌われんぞー。


「実際のトコどーなんだ?」


…神様、
やっぱこいつ嫌いです。


「カーストールさーーん゛っ?!」


図書室にも関わらず大きな声で叫べば、急に後ろから私は口をふさがれた。


「図書室ではお静かに。」

「カストルさぁーん!フラウのクソ男が私のこといじめるー!こいつ聖職者のくせにエロ本持ってるんですよ!!」


カストルさんはひんやりとした目をフラウに向けた。
ザマーみろだ。


「フラウ。…全て処分します。」

「もうねーよ!!」

「図書室に隠してるって!一緒に探します!!」

「おい!」

「私のこと『おい』呼ばわりした罰です。報いです。ざまーみろです。」


ま、ぶっちゃけ、暇なんで。
あれだね、ウォー○ーを探せ!みたいだね!!
ワクワクするよ!


「はい、ではよろしくおねがいしますね。」

「ガッテン承知!!」


あ、でもとりあえずこのエロ本は黙ってもらっておこうっと。

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