「ん…ん?」

目覚めてすぐに感じた頭の痛さに、顔が歪んだ。うぅ…頭痛い。飲みすぎた。

「って、あれ…?ここ…」

水を飲もうと寝ていたベッドから降りようとして、今いる場所が自分の部屋でないことに気がついた。思い返してみても、店を出た記憶すらない。

「ど、どうしよう…」

とにかく一緒に飲んでいた諏訪はどうしたのか、私は今どこにいるのか、とにかくわからないことが多すぎて頭を抱えているとガチャリと扉が開いた。反射的に扉に目を向けると、そこに居たのはジャージ姿の諏訪だった。…って、諏訪!?なんで!?

「やっと起きたのかよ、はよ」
「お、はよう…」
「ほら、薬。頭痛ぇだろ」
「あ、うん…ありがとう…」
「飲んだら顔洗ってこい」
「あ、はい…ってそうじゃない!」

あまりにも普通すぎて、完全に流された。いや、すっごい嬉しいし…かっこいいし…キュンキュンしてるけど…ってだからそうじゃない!

「はぁ…やっぱり覚えてねえな」
「う…すいません…」

ワタワタとする私をじっと見て、呆れたようにそう言った諏訪に返す言葉もない。いや、もうほんと、うん。察しました。酔っ払って途中で寝たとかそういうのだよね。ほんとにすみません。と、思いながら話を聞くと、案の定酔っ払った私を一人にすることも出来ず家に連れて来て、ベッドに押し込んだとのことだった。ほんとに恥ずかしい。

「あの…諏訪…」
「あ?」
「ごめん…ありがとう…」
「あー…俺が勝手にやっただけだから、気にすんな」

顔洗ってこい、飯出来てるから。と私の頭をポンと撫でてタオルを渡してくれる諏訪。なんで…なんでこんなかっこいいの…!ああああ…私のバカ…こんな醜態まで晒して…最低…。自己嫌悪に陥りながら諏訪の後ろを歩く。顔洗ったらこっちこいよ、と言って諏訪が洗面所に私を押し込んだ。鏡を見ながら好きな子いるのに、私のこと家に上げて良いのかな…なんて考えた。チクリと痛む心とモヤモヤする気持ちを洗い流すように冷たい水で顔を洗った。

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