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「今日からこの病院で働くことになった放射線技師のみょうじなまえさんだ。」
「初めまして、みょうじなまえです。よろしくお願いします。」

ペコリと一礼すると、皆からよろしく〜。と温かく迎えられた。新人の自己紹介も終わったことで、と先輩達の自己紹介が始まった。

「俺は葉山太郎。ここの技師長をやってる、まぁ名前だけかもしれないがよろしくな。」
「私は望月コハク。特に自己紹介する内容が無いのだけれど…。とりあえずお酒な好きって事くらいかしら。よろしね。」
「僕は犬山ケン。犬っぽい名前だけれどあんまりはしゃぐのは得意じゃないんだ。去年来たばかりだからお互い頑張ろうね。よろしく。」
「よし、全員終わったな、技師はこの3人だ。なまえを足してやっと4人になった。ここはいつも技師不足でな、科医は今度紹介するからな。」

それから…と葉山が何から教えるか考えていると望月から病院内の案内はどう?と提案が出たので病院内を案内してもらうことになった。

「じゃ、のんびり案内するから分かんないことがあったら直ぐ言えよ。」
「はい!」

いい返事だ。と言われ本当にのんびりと病院内を案内してもらった。病棟や診察室など葉山の思い出や雑談混じりで案内が進んだ。

「で、ここがコールセンターだ。大抵皆ここに居るはずだから困ったことがあったらここに来い。あと看護師はDVDとか貸してくれるから仲良くしとくといいぞ〜。」
「初めまして、よろしくお願いします。」
「新人さん?よろしくね」

優しい笑顔で微笑まれるとなんだか心が落ち着く気がした。

「お?葉山じゃないか。新人に案内してるのか?」
「森本ぉ〜、そうなんだ技師は何人も欲しいんだけどなぁ。そっちは…4人!4人もいるのか!」
「そうなんだよ。あ、紹介がまだだったな放射線技師のかたたちだ、CTやMRIを撮るとき世話になるから、顔を覚えておくようにな。」
「なまえ、フライトドクターとその候補生だ。この人達が連れてきた患者は必ずCTとMRIを撮るように、わかったな。」
「はい、わかりました。」

俺達は先を急ぐから、と言い森本達は横を通り過ぎて行った。お辞儀をしてくれる人や手を振ってくれる人がいたが、ただ1人こちらを見向きもせず歩き去って行った。

「唯一のイケメン君は無口、ね〜」

イケメンだから許されるのかね。と皮肉めいた事を言っていたので「葉山さんもイケメンですよ」と、思った事を言ったらわしゃわしゃと頭を撫でられた。後で看護師に聞いた話によると最近娘さんが反抗期になり冷たいそうだ。

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「と、まぁ病院内はこんな感じだ。はー、広い病院は案内するとこ多いね」

葉山はよいしょと言って椅子に座り机に置きっぱなしのコーヒーを1口飲んで伸びをした。「お疲れ様。」と言って犬山はコーヒーを渡してくれた。

「どう?病院内は広いけど覚えられそう?」
「なんとかって感じです…」

淹れたてのコーヒーをちびちびと飲みながら雑談していると胸元の端末が鳴った。

「…よし、なまえ。お前が行ってこい、初仕事だ」
「はい!」

急いでレントゲン室に向かい既にいた望月から事情を聞いた。バイクでの横転、頭の怪我、そして念のための全身を撮ること。