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5つの組に分かれて均衡を保っている地区…頭文字をとってSWORDと名付けられた。

「…で、私たちはなんでその危なそうな地区に行かなきゃいけないの?」

マコがそういうと、遠くで話を聞いていたシキは一つため息をついて口を開いた。

「REDramって聞いたことない?」
「新薬だっけ?最近出回ってる。」
「そう、それの出所がSWORD地区から出てるって噂があったの。」
「それで、今回の話はSWORD地区に行ってもらいどこでREDramが作られているのか、どこの組織がその薬を作っているのかを探してきてほしいのです。」
「あわよくば組織の破壊、それもでしょう?」
「できればそうしたいのですが、薬となると大きい組織の場合もあります。それも隠蔽できないくらいの…今の我々は大きく動けないですからね。」

平家はやれやれというように言った。
その後詳しい話を聞き、私たち2人はSWORD地区へと向かった。

―――
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「ここがSWORD地区…」
「さ、手分けして探すよ。くれぐれもへましないようにね。」
「き、気を付ける」
2人はバラバラな方向に歩きだしREDramの情報を探し始めた。


さて、どうしたものか…とうんうん考えていたら制服姿のせいか警官に補導にあい現在鬼邪高と呼ばれるところにいるわけだが…

「どう見ても…不良校、だよね…」

校舎にはスプレー缶で落書きされたりロッカーや机が乱雑に置かれたところに屯する高校生には見えない男の人たち…しかもガン飛ばしてきてない?
でも高校内に入って情報取集できるのは私だし…とりあえず入り口の人に尋ねてみようかな

「あの〜…」
「あぁ?!なんやコラ」
「ちょっとお尋ねしたいことがありまして、REDramって知ってますか?」
「れっど…?日本語で話せや!」
「アッ、知らなそうですね。ありがとうございました、失礼します。」

そそくさと校門から離れ物陰に隠れる。ひぃ不良こわ…
まだ時間は経っていないが一応確認してみるとシキからの通知が来ていた。中身を確認するとREDramが何処で作られているのかが分かったとのこと。

「仕事はや…ステルス行為は私の役目だよね…」

そう呟いたあと添付された地図を頼りにその場所へと向かった。

―――
――


地図に示された場所へ向かうとそこは廃工場のような建物が密集した場所だった。
よそ者を寄せ付けない雰囲気と睨むような視線を無視してそこへ踏み入れた。
建物の周りをぐるっと見て回ったものの一見怪しそうなものは見つからず、もう一度見て回ろうとしたとき、視界の端にその場に似合わない服装をした男が一人何かから隠れるようにそそくさと走っていくのが見えた。

「あいつかな…」

そういって物陰に隠れた後に私の能力を発動する。男を見失わないように、そして周りの人にぶつからないように細心の注意を払って後を着けた。
たどり着いたのはさほど入り組んでない部屋で中を見てみるとマスクをつけた男や缶に薬を入れる人たちなど少人数で薬が作られていた。
無音カメラを立ち上げマスクをつけた男や作業風景などをカメラに収める。もちろん後を着けた男の顔も忘れずに。

無事写真を撮り終えたところで昼休憩がはいったのか働いていた人たちがぞろぞろと居なくなった。
皆いなくなったところで置きっぱなしのパソコンに遊騎お手製のソフトをインストールさせる。
シキに連絡をするとすぐにパソコンのカーソルが勝手に動いた。無事に遠隔操作ができるようになったので帰ろうとしたところでちらほらと人が帰ってきたので物陰へと隠れる。

「ここかぁ!!」

大声で誰かが入ってきたかと思えば樽を倒したり机をたたき割ったりなど証拠を隠滅してるのではと思うような行動をし始めた男が数人

「なんてこった…これじゃあ私がステルスした意味…」
「おい」

がっかりとうなだれていると目の前にはカーキ色のコートを羽織った人が一人。やばっと思ったが時すでに遅し、肩をつかまれ思いっきり壁に打ち付けられた。

「うぅ…」
「お前ここで何してる。この薬もお前がやってたのか?」
「そ、んなわけないじゃん。私はここでなにやってるか暴きに来ただけ。この薬とは全く関係ないよ。」
「嘘つけ」
「やめろタケシ。そんな奴一人で運営できるわけがねぇ」

舌打ち交じりに乱暴に肩から手を放してもらい一応小声でお礼を言った。なんでお礼言ったんだ?って自分で突っ込んだけども…

「なんだこれは…」

怒り交じりに言葉を吐き出した男は工場を破壊されたところを見てわなわなと震えていた。

「ん…?んん???あ、九龍グループか…まじか、あー…マジかー…」
「スモーキーやっぱりこいつ何か知ってるみたいだぞ」
「いやぁ待って。知ってるけどさ、はぁー…一気にやる気なくした…」

いじけるように壁にもたれかかっていると九龍グループの1人がこちらに気付いたのかマコの顔を見るや否や情けない声をあげながら後ろへと倒れていった。

「おい、どうした。」
「あ、ああ…あいつ…!前に同僚を病院送りにしやがった連れだよ…!」
「あーあ…シキがあんなことするから…巻き添え食らっちゃったんだけど…」
「情けねぇぞ!お前ら!!たかが女一人に情けない声上げやがって!!」

先頭に立っていた男が怒鳴るとすいませんっと謝った後にぎろっとこちらを睨んできた。

「いや、ほんとさぁ…本業さんたち怖すぎでしょう…。」

ピロリンっと場違いな音が鳴ったところでシキから帰ってこいの合図だと分かった瞬間下り階段に向かって駆け出した。

「じゃ、お疲れ様!」

満面の笑みを浮かべて全速力で出口へ向かいわざと入り組んだ道を使って外へ向かう、無名街の出口には逃走用なのかシキが乗っている車がありそれに乗り込んだ。

「出して!」
「はぁ?」

ちらっと外をみたシキが状況を理解したのかすぐに車を出してくれた。

「つ、疲れたぁ…」
「ちょっと、へましないでって言ったよね?」
「確かにちょっとへましちゃったけど大本はシキのせいだよ…」
「何言ってるの?私あの場所にいなかったでしょう?」
「そうだけどそうじゃなかった…」
「意味が分からない」
「後で話すよ…とりあえず疲れた…」

規定速度を守らない車に揺られながら帰路へと着いた。





おわれ